子どもたちの未来のために:市民性を育むNPO法人PIECESの挑戦
「子どもたちが心に深い傷を負うことなく生きるには、社会にどのような日常を広げていけばいいのか?」
この問いを胸に、医療や福祉の現場で多くの傷ついた子どもたちと出会ってきたメンバーによって、NPO法人PIECESは誕生しました。活動を進める中で、彼らは「孤立」が子どもたちの心に与える深刻な影響に気づき、「孤立しない環境づくり」という新たな挑戦をスタートさせました。
PIECESが目指すのは、子どもたちの周りに信頼できる「他者」を増やすこと。そのために、彼らは「市民性」の醸成を重要な柱として掲げ、地域社会全体で子どもたちを見守る体制づくりに取り組んでいます。
「孤立」の現状:誰にも相談できない子どもたち
学校や家庭、地域社会で、誰しもが困難に直面したり、心の痛みを感じたりするものです。しかし、現代社会では、そうした小さな声は周囲に届きにくくなっています。知らず知らずのうちに孤立や分断が進んでしまった結果、特に子どもや若者の周りでは、深刻な影響が広がっているのです。
PIECESの活動を通じて、子どもたちから多くの切実な声が寄せられています。「自分の痛みを打ち明けられない」「大人の期待に応えなければいけない」「周囲から透明人間のように扱われている」など、様々な悩みを抱えている子どもたちがいるのです。
近年、国のデータでも、約5人に1人が「相談できる人がいない」と感じており、「助けてくれる人がいない」と答えた子どもや若者は10人に1人いるという現実が明らかになっています。
「市民性」から生まれる安心できる環境
PIECESが目指すのは、子どもたちが安心して自分の気持ちを表現できる環境、そして、周囲の人がそのSOSに気づき、受け止められる環境です。誰もが、自分を受け入れられ、安心して過ごせる社会の実現を目指しています。
この目標達成のために、PIECESは「市民性」を重視しています。市民性とは、役割や立場を超えて、それぞれの個性と価値観を尊重しながら、他者や社会とつながり、共に生きていこうとする姿勢です。
PIECESは、学校や専門機関の支援に加え、地域住民一人ひとりが持つ力や行動、そして、日々の小さな振る舞いを通して、子どもたちの生活を支えることができるという信念を持っています。市民性の醸成によって、地域社会全体で子どもたちを見守り、サポートする体制を築き、より良い未来を創造したいと考えています。
市民性を育むための具体的な取り組み
PIECESは、「市民性を育む」という理念に基づき、以下の2つの事業を展開しています。
1. Citizenship for Children(CforC)
「CforC」は、子どもたちと大人たちが共に学び、自分にとって心地よい生き方を模索するプログラムです。約6ヶ月間のプログラムを通して、対話や内省を深め、仲間や講師との交流、自分自身と他者との関係性について深く考えていきます。このプログラムには、10代から60代まで、幅広い年齢層の人が参加しており、全国各地から627名を超える人が参加しました。
2. Cultivate Citizenship
「Cultivate Citizenship」では、WEBでの情報発信、講演会、イベントなどを開催することで、より多くの人に市民性の重要性を伝え、子どもも大人も尊厳が大切とされる社会の実現を目指しています。
近年では、こども家庭庁設立後、同庁のホームページ記事の監修や、子ども・若者の政策参加支援など、様々な活動を行っています。
「協力・共創」による新たな挑戦
PIECESは、市民性の醸成をより効果的に進めるため、2023年から「子どもの孤立を防ぐための協力・共創プロジェクト」をスタートさせました。
このプロジェクトでは、全国各地の団体、機関、自治体、企業と連携し、地域ごとに市民性を育む活動を展開しています。
クラウドファンディングで未来を創造
PIECESは、この挑戦をさらに加速させるため、クラウドファンディングを実施しています。
集まった資金は、以下の活動に活用されます。
地域パートナーとの共創による市民性育成プログラムの実施
コンソーシアム参画団体による学びの場の運営
市民性に関する教材・パッケージの開発
認知拡大のためのイベント開催
PIECESの活動は、子どもたちの未来を創造する、重要な一歩です。一人でも多くの方々に、この挑戦へのご支援をお願いいたします。