SMNが実施したGoogle「Privacy Sandbox」テストの結果と今後の展望
SMN株式会社は、2024年2月から5月末にかけて、Googleが提供する「Privacy Sandbox」の効果を検証するためのテストを行いました。このテストでは、特にPrivacy Sandboxの3つのAPIの機能がどのように動作するかを重点的に調査しました。
テストの概要と目的
本テストは、広告配信におけるプライバシー保護と効率を兼ね備えた方法を模索するために実施されました。具体的には、以下の3つのAPIを使用して検証を行いました。
- - Protected Audience API
- - Topics API
- - Attribution Reporting API
テストには3社の広告主が参加し、特定のビジネスセクターに焦点を当てました。特に、モバイル通信業、電気通信業、スポーツ施設の提供業からのデータを使用しました。
テスト結果の概要
テスト結果からは、以下の重要なポイントが浮かび上がりました。
1.
Protected Audience APIを使用することで、リターゲティング配信が正常に行えることが確認されました。しかし、ブラウザ間の競争状況やレイテンシに関して改善が必要です。
2.
Topics APIでは、興味に基づくターゲティングが機能しましたが、カテゴリごとに配信ボリュームに偏りが見られました。この点についてもフィードバックが求められます。
3.
Attribution Reporting APIは、コンバージョン計測が可能であることが示されましたが、特に配信数が少ない場合には誤差が大きくなる傾向があり、この点も改善が必要とされます。
APIの詳細機能
1.
Protected Audience API: このAPIは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ効果的なリターゲティングを提供します。テスト結果によると、特定のブラウザ群では高いCTR(クリック率)が観測されましたが、オークションの競争率によって結果が異なることがありました。
2.
Topics API: 個人を特定しない興味の類推に基づくターゲティングが可能です。469種類のカテゴリが用意されているものの、現状では粗いターゲティングが主流であり、より細かなターゲティングを目指した改善が期待されます。
3.
Attribution Reporting API: ユーザー識別子を使用せずにコンバージョンを計測しますが、これにより計測に誤差が生じることが確認されました。特に少数のコンバージョンが発生した場合、誤差の影響を最小限に抑えるための取り組みが重要です。
今後の展望
SMNは、今回のテスト結果を基に、Privacy Sandboxを利用した広告配信の実用化を進めていく方針です。プライバシー保護と広告効果の両立を目指し、Googleと強固に連携し続けることで、更なる改善に取り組む意向を示しています。特に、2024年7月のGoogleによる3rd Party Cookie廃止方針の撤回に伴い、今後のテストや技術革新がどのように進むかに注目が集まります。
SMN株式会社は、これまでもビッグデータ処理やAI技術を駆使した広告配信を行っており、今後もその技術力を使って新たなマーケティングソリューションを提供していくでしょう。広告技術の最前線を担うSMNの今後の動きに期待が高まります。