TikTok Shopの現状と今後の可能性
2025年6月30日、日本で正式にサービスを開始した「TikTok Shop」。この新しいEC体験は、動画視聴と購買をシームレスに繋ぐものであり、ユーザーにとってはまったく新たな消費の形を提供するものです。それにもかかわらず、サービスの認知度や利用状況はまだ限定的であることが、ノウンズ株式会社の調査から明らかになりました。
認知度と利用意向の現状
ノウンズ株式会社は、全国の一般生活者999名を対象に「TikTok Shopに関する意識調査」を実施しました。この調査結果によれば、実際にTikTok Shopを知っていると答えた人はわずか18%、名前を聞いたことがある人が20.9%にとどまり、全体の61.1%は「知らない」と回答しました。新しいサービスがリリースされた直後でこのような結果が得られるのは、時期的にも自然なことでしょう。
利用意向についても興味深い結果が得られました。「とても使ってみたい」と回答したのは6.2%、逆に「あまり利用したいと思わない」「全く利用したいと思わない」と回答した人は約82%に達しました。このことから、ユーザーは「知らないから使わない」のではなく、「知っているにも関わらず使う気にはなれない」という態度が浮き彫りになっています。
“日常使い”がカギとなる商品
調査では、TikTok Shop内で購入してみたい商品のカテゴリーとして、食品・飲料やファッション、美容・スキンケアが上位を占めました。これらは日常的に使うアイテムであり、消費者の生活に密着しています。そのため、視覚的に訴求しやすく、SNSショッピングとの相性が良いと考えられます。また、利用意向を高めるための要素としては、商品の使い方や使用感がリアルに伝わる動画が求められていることも分かりました。
信頼感と納得感の重要性
ユーザーがSNS動画を通じて購入意欲を高めるポイントには、実際に商品使用しているレビューや、情報が短時間で要点をまとめられていることが挙げられています。一方で、購入をためらう理由としては、「信頼できない案件感」や「高価格」などが目立ち、SNS内での購入促進の際は誰が発信しているかより、どれだけ本音で語られているかが重視される傾向が見られます。
調査によれば、購入を見送った理由として、「実際に手に取って確認したい」といったニーズがあり、生活者は衝動的に欲しいと感じても、納得できる根拠や信頼性を求めていることが分かります。これを踏まえると、今後のTikTok Shopの利用拡大には、消費者が安心感を持てるような情報提供が求められます。
今後の展望
TikTok Shopがさらに普及するためには、ユーザーの「肯定感」や「納得感」を高める取り組みが欠かせません。具体的には、信頼性を担保するレビューや、リアルな利用シーンを見せるコンテンツ制作が肝要です。また、価格帯やニーズに応じた商品の提案も必要です。消費者の日常に定着するためには、動画コンテンツと購入に近づく工夫が欠かせないことが分かりました。今後、どのようにしてユーザーの心を掴むかが、TikTok Shopの成功の鍵となるでしょう。