サントリーが解明したホップの性決定システム
サントリーグローバルイノベーションセンター(株)は、岡山大学や東京科学大学との共同研究により、ホップの性決定システムの解明に成功しました。この研究成果は、権威ある学術誌「Nature Plants」のウェブサイトに掲載され、注目を集めています。
研究の背景
自然界には多くの植物が存在し、その中には両性花の植物が多く見られますが、ホップを含むアサ科の植物は性別が明確に決まっており、雄株と雌株が共存する必要があります。特に、ビールの醸造にはホップの雌花が利用されるため、性決定の理解が重要です。これまでホップの性決定には「XA型」システムが存在するとされてきましたが、その詳細については未解明の部分が多く残されていました。
研究の進展
研究グループは、雌のホップのゲノム情報を元に最新の解析技術を導入しました。まず、雌のホップと雄のホップのゲノム配列を決定し、染色体レベルでデータを構築しました。この中で、ホップの近縁種であるカナムグラの雄のゲノムも解析し、性決定に関連する遺伝子を特定するために詳細な比較を行いました。
重要な研究成果
その結果、特定の遺伝子(EXER)がホップの性決定において重要であることが判明しました。EXERが発現すると雌の生殖器官が成長し、雄の生殖器官は逆に弱まります。これにより、ホップにおける性別はこのEXER遺伝子によって制御されていることが明らかにされました。
今後の期待と展望
この研究の進展は、ホップやアサ科植物の新たな性決定システムの理解を深めるだけでなく、香味や成育の優れたホップ品種の開発に向けた助けとなると考えられています。そして、植物に限らず、様々な生物における性システムの理解が進むことが期待されています。
サントリーグローバルイノベーションセンターは、基盤技術を通じて「未来のお客様」への価値創造を目指し、今後も新たな研究や開発に挑戦していく所存です。
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