日本の学校教育における非認知能力の実態
Institution for a Global Society株式会社(IGS)は、早稲田大学の小塩真司教授の監修のもと、2026年3月に『非認知能力白書 2025年度版』を発刊しました。この白書は、全国の532校から204,190名の生徒に関する511,122件のデータを分析した結果を報告し、日本の教育環境における非認知能力の実態を体系的に明らかにしています。
非認知能力とは何か?
非認知能力とは、協調性や自己制御、コミュニケーションスキル、リーダーシップなど、従来のテストでは測りにくいが、学業や就職、健康、社会参加など、人生の成果に密接に関連する能力を指します。国際的な研究によれば、これらの能力の重要性が高まっている一方で、測定や可視化の手段が十分に整備されていない現状があります。この白書は、そのような背景から教育関係者が参考にできる実践的な資料として作成されました。
50万件超のデータから導き出された重要な発見
白書では、50万件以上のデータを通じて3つの重要な発見が示されています。
1. 高校入学時の自己評価の低下
データによると、中学3年生から高校1年生への移行期において、自己評価の広範な低下が観察されました。これは、能力の実際の低下ではなく、新しい環境での自己認識の乱れによるものです。この時期に適切な支援を行うことで、自己評価を回復させることが可能になります。
2. 日本の影響力の行使は低水準
継続的に受検した生徒の中で「影響力の行使」に関する成長が見られましたが、国際的にみると日本は最も低い水準にあることが判明しました。環境を整えることでこの能力を伸ばすことが期待されるため、学校でリーダーシップや発言の機会を意図的に増やすことが求められています。
3. 自己評価と他者評価は重要な指標
自己評価を他者評価より低く見積もっている生徒が83%を超え、両者の評価には約10ポイントの差があることが指摘されました。自己評価は生徒自身の内面的な認識を表し、他者評価は外部からの視点を反映しています。目的に応じた使い分けが重要で、例えば成果測定には他者評価を、内省支援には自己評価を利用することで、より実態を正確に把握できます。
今後の展望
本白書の発刊によりIGSは、教育機関や研究機関との新たな連携を促進し、非認知能力の育成についてさらなる議論を呼びかけています。教育界全体がこのデータを活用し、子どもたちが社会で力を発揮できる環境を整えていくことが期待されます。
監修者のコメント
小塩教授は、「非認知能力には測定や介入の可能性があり、今後の教育制度に多くの示唆を与える。子どもたちが多様な力を発揮し、社会全体が豊かになることを期待している」とコメントしています。
会社情報
IGSは、教育や人材分野における非認知能力の可視化を目指し、行動特性や強みを科学的に捉える評価サービスを提供しています。評価プラットフォームの開発を通じて、個人と組織の成長を支援することに力を入れています。自社のビジョンには「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人を作る」という思いが込められています。