加齢と疲れやすさの関係、赤血球の機能低下がカギを握る!
日本メナード化粧品株式会社は、加齢に伴い血液中の機能低下した赤血球の割合が増加すること、その結果身体が疲れやすくなっていくことを発見しました。これは、加齢による疲れやすさのメカニズム解明に大きく貢献する発見と言えるでしょう。
これまで、疲労の原因は全身におけるエネルギー産生の低下と考えられており、酸素を運搬する赤血球の重要な役割は認識されていましたが、赤血球と疲労の関係については不明な点が多くありました。
今回の研究では、20代から60代の健常者を対象に、赤血球の状態と疲労の関係を分析しました。その結果、加齢とともに機能低下した赤血球の割合が増加し、その割合が多い人ほど疲労を感じやすいことが明らかになりました。
さらに、この赤血球の機能低下を引き起こす原因として、IL-1αと呼ばれる炎症性物質が特定されました。IL-1αは加齢とともに増加し、赤血球を生み出す造血幹細胞の機能を抑制することで、新しい赤血球の産生を妨げることが判明しました。そのため、IL-1αが増えることで血液中に機能低下した赤血球の割合が増加し、結果として疲れやすくなると考えられます。
唾液分析で疲労リスクを予測できる可能性
驚くべきことに、この研究では唾液中のIL-1α量を測定することで、赤血球の状態や疲労状態を推定できる可能性も示されました。従来、血液中のIL-1α量を測定するには採血が必要で身体への負担が大きかったのですが、唾液を用いることでより簡便に検査できる可能性が出てきたのです。
今後は、この研究成果を活かして、疲労のメカニズム解明や疲れにくい身体を維持するための抗疲労研究が進められることが期待されています。将来的には、加齢による疲労に悩む多くの人々にとって、より効果的な疲労回復対策や予防対策の開発につながる可能性も秘めていると言えるでしょう。
研究のポイント
加齢に伴い血液中の機能低下した赤血球の割合が増加する。
機能低下した赤血球の割合が多い人ほど疲労を感じやすい。
炎症性物質IL-1αが赤血球の機能低下に関与している。
唾液中のIL-1α量を測定することで、赤血球の状態や疲労状態を推定できる可能性がある。
今後の展望
この研究成果は、加齢による疲労対策の開発や、健康寿命の延伸に大きく貢献する可能性を秘めています。今後は、IL-1αの働きを抑制する成分の探索や、唾液を用いた簡易な疲労度測定方法の開発など、更なる研究を進めることで、より効果的な疲労対策を実現していくことが期待されます。