中小企業におけるAI活用の現状とその課題
近年、AI(人工知能)技術が多くの業界で注目を集めています。しかし、中小企業においてはその活用状況が思わしくないことが明らかになっています。ラクスル株式会社が実施した調査によれば、85.7%の企業がAI活用に関する方針や体制を整備していないとのことです。これにより、経営層の意識が企業全体のAI活用にどのような影響を与えているのか、その実態を探ります。
調査の概要
ラクスル株式会社は、従業員数が2~100名の中小企業経営者とその従業員300名を対象に、AI活用に関する実態調査を行いました。この調査は経営課題や業務実態に関する継続的な研究の一環であり、特にAI技術の業務活用に焦点を当てています。
調査は2回に分けて発表されており、第一回目ではAIの活用状況や推進体制についての結果を分析しています。
中小企業におけるAI活用の現状
調査結果によると、多くの中小企業経営者がAI技術に対して積極的な利用意思を見せていますが、その実際の活用状況は依然として低く、業務において「積極的に活用している」と回答したのはわずか31.0%にとどまっています。また、全体の73.3%が何らかの形でAI技術に触れているものの、日常的に業務に組み込むことができていない企業が多いことが浮き彫りになりました。
この現象は特に業種による違いが顕著で、IT企業では53.0%が積極的に活用していると答えたのに対し、他の業種では20.0%にとどまります。さらに年商規模によっても差があり、年商1億円以上の企業での積極活用率は35.1%です。
経営層の意識とAI活用の乖離
調査では、「必要性を感じない」と答えた経営者の多くが「経営・経営企画」に属しており、必要性を感じない層の45.3%を占めています。これは、AI技術の導入に関する意思決定を担う立場の人々が、実際にはその必要性を認識していないことを示しています。
さらに、約57.3%の経営者が自らの業務にAIをどのように活用できるかを理解していないとの結果も出ています。つまり、組織全体でAI活用を進めていくためには、まずは経営層がAI技術を組織内にどう組み込むかを具体的に認識することが不可欠です。
AI活用を阻む構造的課題
企業におけるAI活用は、経営層の意識と密接に関わっています。調査結果では、「特に方針はないが各自で活用している」との回答が33.0%を占め、その多くが経営者が積極的にAIを利用しないことに起因している可能性があります。AI推進のためには明確な方針が必要ですが、その確立ができていない中小企業がほとんどです。
また、年商の低い企業ではAI活用を担う人材の不足が顕著に表れています。年商3,000万円未満の企業では、社内にAIを使いこなせる人材がいないとの回答が55.4%に上っています。これに対して年商1億円以上の企業では33.3%にとどまります。
今後の展望と課題
中小企業におけるAI活用の実態は、経営層の意識・行動と密接にリンクしていることが明らかになりました。今後の調査で、中小企業がAIをどう活用していけるかを探りつつ、求められる支援内容についても議論を深める予定です。ラクスル株式会社は、このような状況を踏まえ、より多くの中小企業がAI技術を活用できるよう、テクノロジープラットフォームの構築を目指しています。