企業の正社員不足とその影響
2025年7月、株式会社帝国データバンクが実施した調査によると、約50.8%の企業が正社員不足を感じているという。この割合は、過去3年連続で半数を上回る高水準で推移してきた。この調査は全国2万6,196社を対象に行われ、有効回答数は1万626社で、回答率はおおよそ40.6%に達した。
正社員不足の実態
正社員の人手不足を感じる企業は過去3年にわたり高い水準で推移している。2025年7月の調査では、前年の51.0%からわずかに減少したものの、その変動幅は限られており、依然として高止まりの状態が続いている。一方、非正社員の人手不足の割合も28.7%となり、前年同月からは微減したものの、概ね高い水準が続いている。
特に業種としては、「建設」が68.1%と最も高く、企業は「人手が不足し契約が成立しないケースが増加している」という声が上がっている。働き手の確保が難しくなっている現状がうかがえる。また、猛暑が作業効率に悪影響を及ぼしているという声も聞かれ、企業は熱中症対策の義務化により作業手順を見直す必要に迫られている。
業種別の人手不足状況
建設業の約68.1%が正社員不足を感じている背景には、猛暑による作業の制約がある。特に、職業ごとに異なる作業環境や労働条件が影響し、多くの事業者が重い負担を強いられている。例えば、冷暖房設備の工事を手がける企業からは、「残業規制の影響で労働時間が減少した上に、猛暑による作業効率の低下が重なり、社員が疲弊している」との声が伝えられている。
次いで重要なのが「情報サービス」業で、67.6%の企業が正社員不足を訴えた。ここでも、外部環境の影響やクライアントの需要変化が背景にある。
解決策の模索と期待
非正社員に目を向けると、「人材派遣・紹介」の業種では63.3%が人手不足と感じており、特に派遣人材に依存する傾向が顕著である。この状況に対し多くの企業が採用活動を活発化させ、労働力の補填を試みている。しかしながら、飲食店やホテル業界などでは依然として人手不足が影響し、高い水準が続いているものの、コロナ禍からの回復により徐々に改善傾向も見られる。
また、今後期待されるのがスポットワークの普及である。特にサービス業では、この柔軟な働き方が人手不足の解消に寄与すると期待されている。多様な働き方が新たな働き手を引き寄せる可能性があるため、特に小売業や飲食業では、その動向が注目される。
まとめ
2025年7月時点での調査結果をもとに見ると、正社員不足感は依然として高水準を維持している。特に、猛暑による労働環境の厳しさや、業種ごとの多様な課題が存在する中で、企業は新たな戦略を模索し続けている。将来的には、柔軟な働き方や新たな労働形態の普及が、今後の人手不足解消に向けての一助になることが期待される。