微生物技術で油性排水処理の課題解決を目指すフレンドマイクローブ
名古屋市に本社を置く株式会社フレンドマイクローブは、微生物技術を用いて持続可能な社会の実現に向けた新たな取り組みを進めています。最近、同社はNEDOの「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」の第3回公募において、唯一の採択企業として選定されました。これにより、油性排水処理の革新的な技術の実用化を目指す研究開発が進むこととなります。
微生物による油性汚染の解決
フレンドマイクローブは、「微生物による物質分解」を核心ビジョンに掲げ、特に難処理として知られる油性排水の処理に特化した研究を行っています。従来、食品加工工場などから発生する大量の油性排水は、浮上分離後にスカムとして処理されてきましたが、この方法では大量の化石燃料が必要であり、CO₂の排出が問題視されてきました。
同社が開発した微生物は、名古屋大学との共同研究で誕生した特許技術に基づいており、高濃度の油やトランス脂肪酸を含む油脂をも24時間以内に90%以上分解する能力があります。これは、自然環境に優しく、効率的な油脂処理を実現する大きなステップとなります。
大規模・低コストな処理システムへの移行
新たに採択されたGX事業では、既存技術の優位性を活かしつつ、大規模かつ連続的な油性排水処理システムへの移行を目指します。この取り組みにより、CO₂排出の大幅な削減が図られ、処理工程の効率化やコスト削減が見込まれています。さらに、微生物製剤を継続的に提供するビジネスモデルも構築しており、国内外の有力企業との提携を推進しています。
環境負荷を軽減する新たなインフラ
この事業は、環境負荷の軽減と持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩です。フレンドマイクローブは微生物を利用した技術によって、長期的な廃棄物処理の効率化とコスト削減を実現するインフラ技術を追求しています。
多くの賞を受賞している同社の技術は、これまでの実績を基に幅広く採用されることが期待されます。特に、食品業界や化学工業など、油性廃水の発生が懸念されるセクターにおいて、その需要はますます高まることでしょう。実際、具体的な企業導入事例としては、東京証券取引所プライム市場に上場している食品メーカーの工場での使用実績があります。
持続可能な未来に向けた挑戦
フレンドマイクローブの活動は、単なる技術革新に留まらず、社会全体に対する意識改革を促すものでもあります。代表取締役社長の蟹江純一氏は、「持続可能な循環型社会の実現を目指し、微生物の可能性を最大限に引き出すことに挑戦します」と語っています。このメッセージは、企業だけでなく、環境問題に関心を持つすべての人々に向けた強い意志を表していると言えます。
フレンドマイクローブは、今後もその技術を発展させながら、持続可能な社会を築くための努力を続けていくでしょう。微生物による油性廃水処理の革新は、環境問題解決のための新たなスタンダードとなるはずです。