AIで劣化監視技術開発
2024-07-09 14:45:33

AIでコンクリート構造物の劣化を監視! ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリングが共同開発

AIでコンクリート構造物の劣化を継続監視! ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリングが共同開発



株式会社ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリング株式会社は、AIを活用したコンクリート構造物の劣化状況の継続監視技術を共同開発しました。この技術は、橋梁などの画像からひび割れなどの劣化進行を可視化し、角落ちなどの異常を検知することが可能です。

従来、橋梁などのコンクリート構造物は、5年に一度の定期点検が義務付けられており、肉眼による近接目視を中心に行われてきました。そのため、損傷図の作成や過去の点検結果との比較による劣化進行の把握は、人的作業に頼っていました。

近年では、AIによる損傷検知や損傷図作成システムなどが活用され始めていますが、劣化の進行評価においては、人的な作業による見落としや判断ミスが発生する可能性がありました。さらに、土木業界や建設コンサルタント業界では、人手不足が深刻化しており、インフラ構造物の点検などを担う作業員や点検員の確保が課題となっています。

この状況を受け、ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリングは、劣化診断を人の手によらずに定量的かつ適切に分析・評価することを目指し、今回の技術開発を進めてきました。

共同開発された技術の概要



開発された技術は、ドローンに搭載されたカメラを含むデジタルカメラで撮影したコンクリート構造物の画像から、AIと画像処理技術を用いてひび割れ損傷箇所とその大きさを定量的に把握し、劣化進行具合を画像と数値で視覚化するものです。

この技術開発には、以下の課題がありました。

過年度と現時点の入力画像の画質の違い(画素分解能、明るさ、色合い、ブレ、ボケ、あおり角、被写界深度、光学レンズ収差など)による損傷検出結果の差異
比較を行う範囲の切り出しポイントのずれによる劣化進行状況評価結果の差異
あおり補正や画像結合時の微小な計算誤差による単純な画像同士の引き算では損傷の進行状況を測り難いこと

これらの課題を解決するため、撮影位置、アングル、環境光、撮影機材、画素分解能(極力一致させるよう配慮)を固定していない条件下でも、劣化進行の把握が可能な技術開発を行いました。

具体的な技術内容



損傷検出技術:SightFusion for Desktop(点検支援技術性能カタログ技術番号:BR010035-V0224、NETIS登録番号:KT-230019-A)
* 劣化進行把握技術:サイズ可変のメッシュ領域に区切って解析と定量化を行い、ヒートマップおよびヒストグラムにより視覚化された結果により把握

今後の展開



この技術は、多摩市が管理する橋梁を対象とした定期点検、長寿命化修繕計画の改定、補修設計業務の包括的民間委託中で実証され、効果が確認されています。今後は、社会実装に向け、橋梁に加え、高速道路高架橋や鉄道など様々なコンクリート構造物においての検証を実施し、本技術の有効性を確認していく予定です。

ニコン・トリンブルと八千代エンジニヤリングについて



株式会社ニコン・トリンブルは、株式会社ニコンと米国Trimble Inc.の合弁企業として2003年7月1日に設立されました。測量機の開発・生産・販売・サービスから、3D計測ソリューション、情報化施工、精密農業まで、幅広いソリューションとサービスを提供しています。

八千代エンジニヤリング株式会社は、国内トップクラスの総合建設コンサルタントとして、国土交通省を始め官公庁から公共事業を受託し、社会インフラや環境保全に関する技術コンサルティングサービスを、設立より60年以上にわたって提供しています。近年は、培った技術ノウハウを民間企業へも提供しビジネスの領域を広げています。


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