ドローンが変える建設現場の風景
大林組とKDDIスマートドローンが手を組み、石川県輪島市の国道249号で行われている啓開工事に最新のドローン技術を導入しました。能登半島地震による通行止めの影響を受けたこの地域では、自動充電ポート付きのドローンを遠隔運航し、作業の効率化を図っています。この先進的な取り組みが、どのように建設現場を変えつつあるのか詳しく見ていきましょう。
自動充電ドローンの導入
2024年9月11日から始まったこの取り組みでは、現場に設置されたドローンが毎日遠隔から運航され、撮影した画像は低軌道衛星通信を通じてクラウドにアップロードされます。これにより、現場の状況をリアルタイムでデジタルツイン化し、正確な情報を関係者へ共有することが可能になっています。
国道249号は、七尾市から輪島市を経由し金沢市まで続く重要な路線ですが、影響を受けた輪島市沿岸部の通行止め区間では、大林組が全長約3kmの工事を担当。この工事は、大規模な土量計算や工事出来高の管理も含まれ、従来の方法では効率的に行うことが難しい作業ですが、ドローンを使用することで、速やかな測定が実現しています。
工事の効率化に寄与する技術
ドローンの導入により、現場監理業務の80%を削減できるというデータも得られています。具体的には、従来の手法を用いた場合と比較して、現場への移動時間やデータ処理の時間は大幅に短縮され、日々の作業がスムーズに進行しています。特に、自動充電ポートにて充電されるドローンは、現場での準備や設定の手間を省くこともでき、多様なシチュエーションでの運用に向いています。
さらに、2024年9月21日に発生した能登豪雨の際にも、このドローンシステムを用いて迅速に現場の被害状況を把握することが可能でした。事前に整備されたシステムが、緊急時にもその効果を発揮することが証明されています。
デジタルツイン化の可能性
工事現場のデジタルツイン化は、確実な情報の把握だけでなく、ドローンが撮影したデータと過去の工事情報を組み合わせることで、さらなる技術革新を生む可能性があります。基盤となるデータを基にした「デジタルツイン」は、施工の自動化や効率化へとつながり、建設業界全体の生産性向上が期待されるのです。
大林組とKDDIスマートドローンは、この技術革新を通じて、より良い社会の実現を目指しており、今後もドローンを利用した社会インフラ革新に取り組んでいくことでしょう。これにより、建設業界だけでなく、広い範囲での生産性の向上と持続可能な社会の実現が推進されることが期待されています。