電子帳簿保存法の義務化から1年、経理が抱える課題の実態に迫る
2024年1月から、電子帳簿保存法に基づく対応が本格化する中、経理担当者たちはさまざまな課題に直面しています。株式会社インボイスが実施した実態調査の結果、300名のバックオフィス担当者が現在の取り組み状況を明らかにしました。この調査は、電子帳簿保存法改正後の環境の変化とそれに伴う課題を探るものです。
調査の背景と目的
電子帳簿保存法は、1988年に施行され、何度かの改正を経て2022年には大きな変更がありました。特に、2024年1月からは法律が義務化され、税務書類などを電子データとして保存するためのルールが厳格になります。このような背景の中、企業がどのように法令に対応しているのかを知るため、今回の調査が行われました。
調査の目的は、以下の3つの質問に対する答えを明らかにすることです。
1. 企業は電子帳簿保存法にどのように対応しているのか?
2. 法律改正以降、どのような環境の変化があったのか?
3. 経理担当者は現在どのような具体的な課題を抱えているのか?
調査の概要
この調査は、2024年7月17日から7月23日の期間に、インターネットを通じて実施されました。回答対象者は企業で働くバックオフィスの担当者や経営者など、合計300名です。具体的には、スクリーニング調査で29,980本が集まり、そこから330本が有効回答として回収されました。
調査結果の概略
調査結果によれば、電子帳簿保存法への対応状況は企業ごとに異なり、特に中小企業では法令に対する理解が十分でない場合が多いことが判明しています。多くの担当者が、「電子データとしての保存がうまく進まない」といった悩みを抱えており、特に新しいシステムへの移行が困難だという声が多く上がっています。
また、法律改正後に必要な業務フローの見直しや、新たに発生した業務負担に対するストレスも大きな課題となっています。特に、書類のデジタル変換作業や、電子データの管理体制の構築には、相応の時間とマネジメントが必要だとのことです。
今後の展望
株式会社インボイスでは、調査結果を基に、今後のサービス改善に活かすと共に、経理担当者がよりスムーズに法律に対応できるよう、支援体制を強化していく方針です。具体的には、通信費や公共料金の一括請求サービスである「Gi通信」や「OneVoice公共」を通じて、経理部門の業務効率化を図る動きが期待されています。
この調査によって、電子帳簿保存法がもたらす影響と、それに対する企業の実情が明らかになりました。経理担当者たちの声を無視することなく、より良い環境が整備されることが望まれます。これからも、国の法令や制度に対する理解を深め、柔軟な対応が企業に求められることでしょう。