M&Aの適正化に向けた取り組み
昨今、M&A(合併・買収)の活動が活発になってきています。しかし、その反面として『不適切なM&A取引』が増加しているという懸念があります。そんな中、一般社団法人M&A仲介協会が発表した注意喚起が注目を集めています。特に、中小企業経営者にとっては、未来に直結する重要な情報です。
不適切な譲受け事業者とは
不適切な譲受け事業者とは、企業の経営権を取得してから、その経営者の個人保証を解除することなく、企業の資産を持ち去ったり、事業を放置してしまったりするような者を指します。これは特に、中小企業にとって深刻な問題です。彼らが導入したM&Aスキームによって、企業価値が大きく損なわれてしまうリスクがあります。
M&A仲介協会の取り組み
M&A仲介協会は、2021年に設立され、中小企業庁が策定した『中小M&A推進計画』に基づき、適切なM&A取引の促進に努めています。協会には現在129社の会員が加盟しており、年間2200件以上のM&Aをサポートしています。特に、業界の倫理規範に基づいた自主規制ルールの策定や、不適切な譲受け事業者の情報を共有する『特定事業者リスト』の運用が今後行われる予定です。
自主規制に基づく基準の導入
さらに、当協会は『経営者保証に関する基準』を定めており、これに従わない企業への警告を発出しています。経営者保証が解除されないリスクについて、透明性のある説明を求めることで、M&Aの過程での不適切な行為を未然に防ぐ意義も大きいです。
中小企業経営者への注意呼びかけ
事業承継やM&Aを考えている中小企業経営者は、M&A仲介協会が定めた基準を順守している企業を選ぶことが重要です。不適切な取引に巻き込まれないようにするためには、信頼できるM&A支援業者との連携が欠かせません。協会のホームページにはその基準が詳しく載っていますので、ぜひ一度確認してみてください。
不適切M&Aに関する情報提供のお願い
また、今後は『特定事業者リスト』を用いて不適切な事業者に関する情報を集めることが強調されています。もし、不適切なM&A取引に関する情報を手に入れた際は、迅速にM&A仲介協会の『苦情相談窓口』への通報が奨励されています。
まとめ
M&Aは企業成長の一環として重要なプロセスですが、同時に危険も内包しています。M&A仲介協会が打ち出した制度や基準をしっかりと理解し、自らの身を守る行動を起こしましょう。中小企業経営者が安心して事業承継やM&Aを進められる環境作りが更に進むことを期待しましょう。