人文・社会科学研究の未来を拓く30の論点:研究エコシステムの「脱サイロ化」に向けた提言
一般社団法人デサイロは、2024年7月、人文・社会科学研究の未来を展望する報告書「DE-SILO RESEARCH REPORT──人文・社会科学の未来を拓く30論点:研究エコシステムの『脱サイロ化』に向けて」を公開しました。
本レポートは、現代の人文・社会科学研究(以下、人社系)を取り巻く課題と、その構造的背景を分析した上で、人社系学問がそのポテンシャルを最大限に発揮できる未来に向けて30の提言を提示しています。
人社系研究の現状:危機と課題
近年、人社系研究は、大学院重点化や国立大学法人化、運営交付金の削減といった政策の影響を受け、財政基盤の悪化、研究者のポスト減少、事務作業増加による研究時間の圧迫といった深刻な課題に直面しています。さらに、社会における「文系不要論」といった声も聞かれるなど、人社系学問はまさに危機的な状況にあると言えるでしょう。
脱サイロ化:人社系研究の未来への道
デサイロは、こうした課題解決に向けて、人社系研究の「脱サイロ化」を提唱しています。「脱サイロ化」とは、大学という閉鎖的な空間から飛び出し、企業、行政、地域社会など、様々なステークホルダーとの連携を強化することで、人社系研究の知を社会に実装し、その価値を広く社会に還元していくことを意味します。
30の論点:人社系研究の未来を拓くための具体的な提言
レポートでは、以下の3つの観点から、人社系研究の未来を拓く30の論点を提示しています。
1.
研究知の社会実装: 人社系研究が社会に貢献するための具体的な方法論を提示します。例えば、企業における人材育成や組織開発への応用、地域課題解決への貢献、政策提言など、人社系研究の知を活用した社会貢献の事例を紹介します。
2.
研究エコシステムの構築: 人社系研究者を支援する新しい仕組みの構築を提案します。例えば、企業による研究資金の提供、研究者向けの人材育成プログラム、大学と企業の連携による共同研究など、人社系研究の持続的な発展を支える仕組み作りを提言します。
3.
研究者のキャリアパス: 人社系研究者の多様なキャリアパスを支援するための具体的な提案を行います。例えば、大学以外の研究機関や企業への転職支援、起業支援、フリーランス研究者としての活動支援など、研究者にとってより魅力的なキャリアパスを構築するための提言を行います。
今後の展望:人社系研究の未来を共に創造していくために
デサイロは、本レポートを起点とし、人社系研究の未来を拓くための様々な活動を行っていく予定です。具体的には、以下の活動を通して、人社系研究の脱サイロ化を推進していきます。
企業や大学との連携による共同研究プロジェクトの実施
人社系研究者のネットワーク構築
人社系研究の知を社会に広めるイベント開催
人社系研究の事業化支援
デサイロは、人社系研究者がその知を活かして社会に貢献できる環境を構築し、人社系学問の未来を共に創造していくことを目指しています。