日本の責任投資におけるサステナビリティの明確化と提言
2023年6月19日、東京にて国連責任投資原則(PRI)、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、およびGeneration Foundationが共同で、日本におけるサステナビリティ・インパクトを重視した投資の法的枠組みを明示したポリシーレポートを発表しました。この報告書では、サステナビリティ・インパクトが財務的に影響を与える場合、日本の法規制がどのように投資家に対しそれを追及することを許可または要求しているかを詳細に検討しています。
報告書では、日本の投資家がサステナビリティ・インパクトを重視した投資を行う際、法的な規定が不明確であることから、十分な理解を得られない現状も指摘されています。これにより、投資家が持つポテンシャルな行動を抑制し、気候変動に対するファイナンスの推進を妨げる要因となりかねません。
サステナビリティ・インパクトを導くための提言
報告書では、日本の投資家がサステナビリティ・インパクトを最大化するための5つの具体的な提言が示されています。
1.
投資家の義務に関する明確化: サステナビリティのインパクトを考慮した投資家の義務を詳細に示し、どの程度それが許可または義務化されているかをはっきりさせる。
2.
既存のルールの更新: 日本におけるルールや基準を見直し、投資家が企業のサステナビリティ関連情報にアクセスしやすくする。
3.
スチュワードシップの明示化: 改訂されたスチュワードシップ・コードを通じて、投資家が持つスチュワードシップ活動の役割を明確にし、どのようにサステナビリティ・インパクトを追及することができるのかを示す。
4.
透明性の確保: 責任投資に関する主張について透明性を高め、市場の規律を強化するための開示に関するルールやガイダンスを導入する。
5.
顧客とのコミュニケーション強化: 投資マネージャーとその顧客及び受益者との間でサステナビリティの意図や選好について良好なコミュニケーションが図れるよう、関連するガイダンスを設ける。
投資の未来に向けたリーダーシップ
PRIのCEO、David Atkin氏は、「日本の政策立案者や規制当局からの強力な支援が評価される一方で、多くの投資家がその機会を十分に活かせていない現状に懸念を示しています。投資家に法的な明確性を持たせることで、国の掲げるサステナビリティ目標の実現に寄与することが期待されます」と述べています。
また、Generation FoundationのGrace Eddy氏も、「多くの投資家はサステナビリティ要素が財務目標に与える影響を常に考慮する必要性があるが、その義務の範囲を認識していない」との認識を示しました。彼女は報告書が提供する法的なガイダンスの重要性を強調し、投資家の行動を促進するための施策改善を促しています。
この報告書は、持続可能な投資に向けたポリシーの基盤を強化する重要なステップとなりそうです。これにより、日本の投資がサステナビリティ意識を持ち、社会全体に有益な影響を与えることが期待されています。
報告書は、PRI、UNEP FI、Generation Foundationが委託し、専門家が執筆したもので、サステナビリティに関連する課題を考慮しながら投資家の理解を深める一助となるでしょう。詳細な報告書は、
こちらからご覧いただけます。