Nyx Foundationの新たな成果
東京都文京区に本拠を置く一般社団法人Nyx Foundationは、自社開発のAIバグ発見システム「SPECA」がイーサリアム財団からの研究助成金に選ばれたことを発表しました。このプロジェクトは、イーサリアムのプロトコルセキュリティを向上させることを目的としており、SPECAを公式のセキュリティワークフローへ統合する研究開発を、今後4ヶ月間にわたり推進します。
仕様駆動のセキュリティの必要性
近年、ブロックチェーン技術や複雑なITシステムにおいて、セキュリティ上のリスクとして「仕様と実装のズレ」が指摘されています。イーサリアムなどの大規模な分散型ネットワークでは、複数のクライアントが同時に動作し、全体の安全性を保つため、各チームが仕様を正確に解釈し、バグなく実装することが求められますが、これは非常に困難です。
その中で、AIの力を借りて仕様の遵守状況を検証する試みが注目されています。特にAnthropic社が発表した「Claude Code Security」のような技術が脚光を浴びる中、SPECAは自然言語で記述された仕様書から自動的にチェックリストを生成し、異なる実装コードを比較することで脆弱性を特定できる優れたAIエージェントです。
SPECAの実績と国際的な評価
SPECAは、イーサリアムのセキュリティ向上において既に成果を上げています。2025年秋に予定されているイーサリアムの大規模アップグレード「Fusaka」において、SPECAは11の異なるクライアント実装から17件の脆弱性を発見し、その結果、世界で最も多くの報告件数を記録しました。また、バグバウンティプログラムでも数件の脆弱性を適切に報告し、修正提案を行うことでプロトコルの安全性に寄与しています。
この技術の成果を纏めた論文は、2026年に行われる国際会議「ICLR」にも採択され、学術界でも高く評価されています。さらに、最近SPECAのオープンソース化も発表され、SNS上では大きな関心を呼びました。
助成金プロジェクトの概要
イーサリアム財団からの助成金により、Nyxは以下のマイルストーンに取り組む予定です:
1.
ワークフローの統合: SPECAを用いてイーサリアム仕様書を自動的に解析し、クライアント実装との不整合を特定するプロトタイプを開発します。これにより、開発初期段階で仕様違反を検出する仕組みを整えます。
2.
Lean形式検証との統合: Nyxが開発したLean言語を用いた形式検証のメソッドをSPECAに統合し、生成されたセキュリティ要件を数学的に証明可能な形式仕様に変換することで、さらなる安全性向上を実現します。
3.
脆弱性の発見と学術的貢献: 助成金期間中も監査を行い、発見した脆弱性の報告と修正パッチの提供を続けます。また、これまでの成果をまとめた論文を国際カンファレンスに提出する予定です。
Nyx Foundationは、AIエージェントを活用し、ITシステムのセキュリティを高めることで、安心して利用できるデジタル社会の構築に寄与していきます。オープンソースとして公開されるこのツールは、広く一般に利用されることを目指しています。
Nyx Foundationについて
Nyx Foundationは、イーサリアム及びブロックチェーン業界に特化した研究機関であり、形式検証とセキュリティを専門として、次世代プロトコルの安全性向上に取り組んでいます。すべての活動は、寄付や助成金、スポンサーシップによって支えられており、国際的な学術活動も展開しています。
詳細については、
公式サイトをご覧ください。