フォルテオ®と活性型ビタミンD3併用の新たな治療データ
先日、東京で開催された第30回日本骨代謝学会にて、日本イーライリリー株式会社が最新の研究成果を発表しました。今回の研究は、骨粗鬆症の治療において重要な役割を果たす「フォルテオ®(テリパラチド)」と、活性型ビタミンD3製剤の併用についてのもので、特に血清カルシウム値への影響を調査した「FPAD試験」と呼ばれる臨床試験に関するものです。
研究の背景
骨粗鬆症は骨が脆くなり、骨折のリスクを高める疾患で、日本では約1280万人がこの病気に苦しんでいます。治療法はいくつかありますが、フォルテオは新しい骨を形成する作用を上げる治療薬として、特に注目されています。さらに、ビタミンDは腸からのカルシウム吸収を促進することが知られており、併用することで治療効果が期待されています。
試験の目的と内容
FPAD試験の目的は、フォルテオと活性型ビタミンD3製剤を併用した場合、患者の血清カルシウム濃度が一定の上限を超えないかどうかを調べるものでした。試験対象は55歳以上の骨粗鬆症患者で、投与28日後の血清カルシウム濃度を測定しました。
研究結果
この試験の結果、どの観察時点においても血清カルシウム濃度が事前に設定された上限(11.0 mg/dl)を超える患者は見られませんでした。また、投与後の血清濃度は、2、4、6時間後には上昇が見られましたが、16~24時間が経過する頃には元の値に戻っていました。このことは、過去の臨床試験で得られた結果とも一致しています。
また、試験を通じて有害事象の報告は軽度のものが6件、中等度のものが1件ありましたが、いずれも因果関係は否定されています。
日本独自の治療環境
欧米では、骨粗鬆症治療においてカルシウムやビタミンDの補給が必須とされていますが、日本では活性型ビタミンD3が保険診療で広く使われています。このため、今後はカルシウムと活性型ビタミンD3製剤を組み合わせた治療が標準になる可能性が高いです。
未来への期待
日本イーライリリーは、此次試験で得られたデータを基に、骨粗鬆症患者に対する治療環境の向上を目指しています。活性型ビタミンD3の使用による骨代謝の改善が期待される中、今後の研究の進展に期待が寄せられています。
骨粗鬆症は進行すると深刻な合併症につながる可能性があるため、早期の対応が重要です。今回の結果は、患者にとって非常に大きな福音となることが期待されます。
参考リンク
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