宮崎・都農町で始まったタマカイ鍋セットの加工と養殖の未来
秋も深まる宮崎県都農町。ここで新たな挑戦が始まった。それは、岡山理科大学と地元が連携し、注目の魚「タマカイ」の陸上養殖からなる鍋セットの加工である。10月21日、養殖施設から水揚げされたタマカイが、ふるさと納税の返礼品用として加工されることになった。11月中旬には、全国の家庭に届けられる予定だ。
タマカイプロジェクトのスタート
このプロジェクトは、「水産業夢未来プロジェクト」として2023年4月に始動した。7.4トンの水槽を備えた試験養殖施設に、成長すると最大3メートルになるタマカイの稚魚224匹と、クエとタマカイの交雑種「クエタマ」53匹を収容し、営まれている。この後、タマカイに特化し、量産化とビジネス化へとシフトしている。
タマカイは大変成長が早いことで知られ、現在では養殖開始からわずか1年半で平均体長52.9センチ、体重3,034グラムに達した。中には62.4センチ、5,480グラムの“大物”も育ち、この成長には好適環境水が寄与している。これにより、海水で育てるよりも約3倍の速さで成長が促進されているのだ。
養殖の裏側
このプロジェクトを支えるのは、岡山理科大学生命科学部の山本俊政准教授と、現場スタッフの三輪将也さん、河野里美さん。二人は初めての養殖経験ながら、高い生存率(約94.2%)を達成するとともに、日々の管理に見事に従事している。
「これほど成長の早い魚種は初めてです」と山本准教授が語るように、タマカイの成長には驚きが尽きない。日々の給餌や水質管理は、二人の努力によるものだと改めて感謝の意を表している。
加工プロセスと鍋セット
水槽からは毎回10匹が水揚げされ、都農水産加工センターでウロコや内臓が取り除かれ、切り身とアラに加工される。このプロセスを経て、鍋セットとして200~300セットが準備され、11月中旬には全国へと発送される。「都農育ちの高級魚・タマカイを全国の皆さんに味わっていただければ嬉しい」と坂田広亮町長も意気込んでいる。
未来に向けて
都農町では、現在の養殖施設から更に西へ約2.6キロ離れた土地に40トンの水槽を新設する計画が進行中で、来年度中の完成を目指している。タマカイに限らず、他の町の生産品にも良い形で影響を与えることを期待している。この新しいプロジェクトは、地元の経済に新たな風を吹き込み、全国の食卓でタマカイの味を楽しんでもらうきっかけとなる。
タマカイの美味しさを追求し続ける都農町の挑戦は、今後も注目を集め続けるだろう。美味しい鍋セットが期待されているこのプロジェクトに、ぜひご注目を!