大林組とアイシンの共同実証実験
株式会社大林組と株式会社アイシンが、東京都清瀬市にある大林組技術研究所において、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始しました。これにより、再生可能エネルギーの導入を一層促進することを目指します。
実証実験の意義
2050年までにカーボンニュートラルの実現が求められる中、特に太陽光発電が重要な役割を果たすと期待されています。これまでのシリコン系太陽電池は、発電効率や設置スペースの確保に課題を抱えていましたが、ペロブスカイト太陽電池はそれらを解決する可能性を秘めています。特に、ペロブスカイトは軽量で柔軟性があり、狭い場所や特定の構造物でも設置が可能です。
ペロブスカイト太陽電池の特性
この新しい技術により、発電効率が向上するだけでなく、製造コストの低下も期待されています。ヨウ素を主成分とし、国内で調達可能なことも大きなメリットです。しかし、現時点では発電効率や耐久性においてシリコン太陽電池に比べるといくつかの課題が残っています。これを克服するため、アイシンは20年以上にわたる研究技術を活用し、ペロブスカイト太陽電池の高効率化と耐久性の向上を目指しています。
実証実験の内容
工法の革新
今回の実証実験では、ペロブスカイト太陽電池の「容易に交換できる工法」と「発電量を最大化する設置方法」を開発し、実証しています。特に、ファスナーを用いた取り外し可能な工法の研究には注目が集まっています。この工法は、建物の使用中でも容易に電池を交換できるように設計されています。このための特別なファスナーを使用し、通気性のあるメッシュシートを組み合わせて、大面積での施工を可能にしました。
発電量の最適化
さらに、年間の発電量を最大化するための設置方法の検証も実施されています。この方法では、太陽電池を30度の角度で設置することが推奨されますが、ペロブスカイトの特性を生かし、より多くの太陽電池を同一面積に設置できるよう工夫されています。その結果、個々の電池の効率はやや低下するものの、全体の発電量が20%以上増加する見込みです。
今後の展望
大林組とアイシンは、この実証実験で得た知見を基に、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化を目指して技術開発を進めます。ビルや工場、さらにインフラ構造物への応用も視野に入れ、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進していくことが期待されます。
新しい技術での取り組みが、カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、未来のエネルギー環境を変えていくことになるでしょう。これからの進展にも注目が集まります。