認知症をテーマとした課題解決型探求学習がスタート
特定非営利活動法人イシュープラスデザイン(issue+design)は、NTT東日本およびドルトン東京学園と連携し、『認知症世界の歩き方』プロジェクトを基にした新たな教育プログラムを展開しました。このプログラムは、認知症についての理解を深め、今後の共生社会を構築することを目指しています。
『認知症世界の歩き方』プロジェクトの概要
『認知症世界の歩き方』は、認知症の当事者の体験に基づいた内容を通じて、認知症への理解を促進しようとする取り組みです。このプロジェクトは、100人以上の認知症のある方にインタビューを行い、その経験をもとに『認知症世界の歩き方』という書籍を刊行しました。当該書籍は累計20万部を超え、NHK Eテレでも特集が組まれるほどの反響を得ています。
プログラムの特徴
新しい授業プログラムは、中等部2年生107名を対象に家庭科の授業として180分で実施されます。生徒たちは、認知症の方の視点から共に生きる社会を考えるために、以下の内容で学びます。
第1回:認知症のある方が生きる世界を体験する(90分)
- - 認知症をテーマにした動画を視聴し、体験を自分自身のものとして理解する。
- - 認知症の方の生活の中で起こり得る不自由さの原因を探る。
- - 認知機能の障害を考慮し、生活の不自由を解消するアイデアを考案する。
第2回:課題明確化と解決アイデアの具体化(90分)
- - 認知症の方の体験に基づき、解決すべき課題を明らかにする。
- - ワークシートを活用し、具体的な解決策を考案する。
プログラムの学習資材
このプログラムでは、認知症の体験を視覚的に学ぶことができるストーリー動画や、アイデア発想を助けるカードキット型教材が使用されます。ストーリー動画には、「記憶が消えていくミステリーバス」や「役に立たない地図」が含まれ、認知症のあり方を身近に感じることができます。家庭科の授業を通じて、認知機能障害について理解を深め、実際に解決のアイデアを提案する力を養います。
グループディスカッションとアンケート
プログラムの中で生徒たちは、グループディスカッションを行います。参加した生徒の意見からは、認知症フレンドリーデザインへの具体的な発想や、仲間との意見交換が刺激になったという声が多く寄せられました。
『このプログラムを通じて、困っている人の生活を変えるアイデアが自分にも考えられると実感した』という感想もあり、94.2%の生徒が認知症についての理解が深まったと評価しています。
プログラムの今後
今後も問題解決型の授業を通じ、認知症の理解と社会への貢献を目指すこのプログラムは、地域の教育機関・企業との連携を図りながら、より多くの生徒に広がっていくことが期待されます。協業を通じて、認知症のある方が過ごしやすい社会作りに貢献していくことを目指します。
お問い合わせは、issue+design(担当:佐藤)まで。詳細は
公式ウェブサイトをご覧ください。