ADHD評価手法の新展開
2025-10-15 14:33:57

成人ADHDの新たな客観評価手法を探る眼球運動と瞳孔径の研究

成人ADHDの新たな客観評価手法を探る



千葉工業大学の上野歩さんを中心とする研究チームが、成人の注意欠如・多動性障害(ADHD)の評価において、眼球運動の時間的複雑性と瞳孔径を統合した新しい手法を発表しました。この研究は、これまで主に問診や行動観察に依存していたADHDの診断において、より客観的かつ定量的なデータを提供することを目的としています。

研究の背景



ADHDは不注意・多動性・衝動性を伴い、成人までその課題を抱えることがあります。従来の診断方法では主観的な要素が強く、より客観的な指標が求められていました。そこで、アイトラッキングを用いて、眼球運動と瞳孔径のデータを同時に取得する手法に着目しました。

研究手法



研究では、成人の定型発達者20名とADHD患者16名を対象にしました。対象者には、固視課題を2分間行ってもらい、その間に眼球運動と瞳孔径を測定しました。特に、眼球運動の時間的複雑性は「マルチスケール・エントロピー解析」を用いて評価されました。この手法を用いることで、眼球運動の予測不能性や不規則性を定量化し、ADHD群との比較を行いました。

研究成果



分析の結果、ADHD群及び薬物未治療のADHD群では、眼球運動の時間的複雑性が有意に低下していることが確認されました。また、瞳孔径はADHD群で有意に拡大していることがわかりました。この2つの指標を統合したモデルは、単独の指標よりも高い分類精度を示し、ADHDの評価において相補的な情報が得られました。

意義と展望



これらの成果は、非侵襲的かつ低コストでADHDの診断を補助する新たなアプローチを示唆しています。特に、眼球運動と瞳孔径を組み合わせたこの手法は、ADHDの特性を深く理解するための基盤を築くものです。今後は、年齢や薬物治療の有無、ADHDのサブタイプに基づいた一般化可能性を確認することが重要となります。

最後に



この研究成果は、2025年10月9日付で米科学雑誌「PLOS Mental Health」に掲載され、多くの研究者によって注目されています。ADHDの客観的評価を向上させるための新たな道を切り開くため、今後の研究が期待されます。


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