中温域で高い伝導率を示す新型電解質膜の開発
東京理科大学と東北大学の共同研究グループが、酸化物超イオン伝導体の新しい薄膜を開発しました。この薄膜は、200〜550℃の中温域で動作する固体酸化物燃料電池(SOFC)に応用できる可能性を示しています。
1. 研究の背景
固体酸化物燃料電池は、高い発電効率と低環境負荷が特徴です。しかし、従来のSOFCは700℃以上で動作するため、コストや耐久性の面で問題がありました。そこで中温域での動作を目指した新たな電解質材料の開発が求められています。
2. 開発した電解質膜
研究チームは、a軸方向に配向したSm3+ドープCerium oxide(CeO2)薄膜(SDC)を新たに作製しました。得られたSDC薄膜は、特に優れた酸化物イオン伝導率を示し、10-2 S/cmを大きく超えています。
また、イオン輸率が0.96に達し、電子導電がほとんどないことも確認されました。この結果は、a軸配向SDC薄膜が効率的にイオン輸送を行えることを示しています。
3. 成膜方法と特性評価
SDC薄膜は、RFマグネトロンスパッタリング法を使用してイットリア安定化ジルコニア基板の上に成膜されました。厚さ約20nmの薄膜は、酸素空孔の効率的な生成により、340℃で非常に低い抵抗値を持つことが確認されました。また、特定の環境下でも高い伝導率を保持することが分かりました。
4. さらなる応用
これらの成果に基づき、次世代の固体酸化物燃料電池や全固体電気二重層トランジスタ用電解質材料の開発が期待されています。技術が進歩すれば、中温域でのSOFCの普及がより現実のものとなるでしょう。
5. 研究の意義
本研究は、新たな電解質材料の発見により、燃料電池のコスト削減や効率向上に寄与することを目指しています。特に環境への配慮が高まる現代社会において、エネルギーの効率的利用と再生可能エネルギーの推進は重要な課題です。
6. 結論
新しい酸化物超イオン伝導体の開発は、持続可能なエネルギー技術の進展に向けた重要な一歩であり、今後の研究や産業応用が注目です。この新しい電解質膜が導入されることで、SOFCがもっと身近な存在になることを期待しています。