川崎幸病院、患者情報収集の革新に挑む
神奈川県川崎市に位置する川崎幸病院が、入院前の患者情報取得に関する実証実験を始めました。この実験は、スマートフォンを使用して患者情報を効率的に収集し、医療現場の業務負荷を軽減し、患者の医療体験を向上させることを目的としています。
実験の背景と目的
手術や検査に際して、患者は多くの情報を紙に記載する必要があり、これにより手術や検査を安全に進めつつ、病院側の手間も増大しています。また、医療現場では同じ情報を何度も記載しなければならないという課題もあります。これに対処するため、川崎幸病院では、患者がスマートフォンを利用して情報を入力し、そのデータを電子カルテに直接送信する仕組みを導入します。
このプロセスには、OPEReが提供する「ポケさぽ」とエプソンが開発した「Epson Connect API」および「Document Capture Pro」が連携し、患者情報の一元管理を実現します。川崎幸病院でのサービス提供は2023年6月から始まる予定です。
川崎幸病院の実績
川崎幸病院は急性期医療を中心に、「断らない救急」を掲げ、年間約1万台の救急車を受け入れる地域の中核病院です。医療法人売上高ランキングでも全国上位に位置し、質の高い医療サービスを提供し続けています。病院は業務改革を進め RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入にも取り組んでおり、医療サービスの効率化を図っています。
「ポケさぽ」の活用と今後の展望
OPEReの「ポケさぽ」は、患者の説明を動画やチャットで半自動的に行うシステムで、患者が必要な情報をいつでもどこでも確認できる環境を提供します。これにより患者の安心感を高めることが期待されています。
これまでも川崎幸病院などで導入されていた「ポケさぽ」は、今後入院が決まった患者の情報収集にも役立つ予定です。
参加事業者のコメント
川崎幸病院の高山渉患者支援センター長は、「現在の医療現場では、患者が多くの情報を何度も書かなければならないという課題があります。今回の実験により、情報管理を効率化し、患者や医療スタッフにとってより安全な環境を提供したい」とコメントしています。
OPEReの澤田優香代表取締役も、「患者情報の収集を支援することで、入院医療が円滑に行われることを目指しています。スマホから提出された情報を直接電子カルテに反映できる仕組みを構築します」と述べています。
エプソンの中見至宏部長は、「Epson Connect APIは医療現場に新たな価値を提供することで、より多くの患者様の負担軽減に役立つことを目指しています」と語っています。
用語解説
- - ポケさぽ: スマートフォンを利用して患者に説明を行うシステムで、情報を動画やチャットで提供します。
- - Epson Connect: エプソン製品向けのクラウドサービスで、印刷やデータ保存を遠隔で行うことができる技術です。
この実証実験を通じて、川崎幸病院は医療現場の業務効率化と患者の医療体験向上に向けた新たな一歩を踏み出します。