アレルギーワクチンの臨床試験が進む
株式会社ファンペップは、花粉症を対象としたアレルギーワクチン「抗体誘導ペプチドFPP004X」の第Ⅰ相臨床試験において、治験薬の投与が進展していると発表しました。最新の情報によれば、10月22日に実施された安全性評価委員会において、被験者への3回目の治験薬投与が適切であると判断されたため、今後治験薬の投与が近く完了する見込みです。
この臨床試験は、健康な成人及び季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、FPP004Xまたはプラセボを筋肉内に投与し、安全性や忍容性、さらには免疫原性を評価することを目的としています。本試験は、健康成人を対象とするパート1と花粉症患者を対象とするパート2の2つの部分で構成されています。
パート1では、低用量コホート(4週間ごとに2回)および高用量コホート(4週間ごとに2回または3回)の投与試験が行われました。一方、パート2では、スギ花粉に対する反応を確認するため、人工的に飛散させた花粉を用いた曝露試験が行われます。
花粉症の実態とWアレルギーの危険
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応として知られています。主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどが含まれます。2019年の全国疫学調査によると、日本国内において花粉症の有病率は42.5%、スギ花粉症に関しては38.8%と高い数値を示しており、これは10年前と比べても10%以上の増加です。
このような背景を踏まえ、政府は花粉症を国民病と認識し、対策に取り組んでいます。毎年多くの人々が花粉症に悩まされているため、医薬品市場でもアレルギー性鼻炎治療薬はおおよそ1,700億円(2019年)に達するほどの規模を誇ります。
FPP004Xの治療効果と期待
FPP004Xは、体内でIgE(免疫グロブリンE)に対する抗体を誘導することで治療効果を期待されています。IgEは、外部から侵入した異物を排除するための抗体の一種であり、アレルゲンと結合することでアレルギー反応を引き起こします。このペプチドワクチンには、免疫細胞に抗IgE抗体を継続的に生成させる特性があり、さまざまなアレルギー疾患に対する持続的な効果が期待されているのです。
ファンペップは、この特性を活かし、花粉症を第一の適応症とし、花粉が飛散する前に投与することで、シーズンを通して症状を緩和できるような利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指しています。
企業との連携と今後の展開
さらに、FPP004Xに関しては、2024年3月に塩野義製薬株式会社との間でオプション契約を締結しており、同社は全世界でのアレルギー疾患に対する独占的な研究開発および商業化権を持っています。この連携により、ファンペップのアレルギーワクチンはさらに広がりを見せることが期待されています。
ファンペップの取り組みは、花粉症という多くの国民に影響を与える問題に果敢に挑むものです。新しい治療法の実用化が進むことで、花粉症に悩む人々の生活が大きく改善されることを願っています。