医療現場の革新をもたらす「胸部CT画像解析AIエンジン」誕生
最近、株式会社ドクターネットは新たに『胸部CT画像解析AIエンジンDoctorNET MONCAD CTLN』の販売を開始しました。この新しいAIエンジンは、医薬品医療機器等法に基づく製造販売認証を取得し、胸部CT画像の解析を通じて医療現場における読影支援を行います。本稿では、このAIエンジンの特徴や導入の背景、及び医療現場への影響について詳述します。
医療AIエンジンの概要
本製品は肺野領域に特化したAI技術を用いており、CT画像から重要な関心領域を抽出する機能を持っています。この解析により、該当する領域の体積や最大径を測定し、医師が読みやすい情報として提供します。これにより、放射線診断医師の負担を 軽減し、診断精度の向上に寄与することが期待されています。なお、このプロジェクトは韓国のMonitor Corporation社との共同開発によって実現されました。
医療分野の現状と背景
肺がんは日本国内における主要な死因の一つであり、特に男性においては最も多いとされています。2022年の統計では、年間約77,000人が肺がんで亡くなっており、早期発見が何より重要です。特に、日本はCT装置が豊富である一方で、放射線専門医が不足しており、専門医一人あたりの読影数が欧米の数倍に及ぶという実情があります。
このような中で、当社は放射線診断医の負担軽減を目指し、新たにAIエンジンの開発に取り組みました。このAIエンジンによって、多忙な医師の負担が軽減され、読影の精度も向上することが期待されています。
AIエンジンの特徴
新たに発表されたDoctorNET MONCAD CTLNは、約10万症例のデータを基に機械学習を行っています。深層学習技術を駆使し、特にDenseNetアルゴリズムとビジョントランスフォーマー(ViT)を採用しています。これにより、胸部CT画像が自動的に解析され、重要な関心領域が明確にされるのです。
導入の流れと活用方法
すでに利用中の約1,300の医療機関では、本AIエンジンを既存のシステムに組み込むことができますので、新たなシステムの導入は必要ありません。これによって、全国の医療機関がスムーズにこのサービスを利用できるようになります。新規に導入を希望する施設にも、短期間かつ低コストで導入可能であり、様々なメーカーのPACSとも柔軟に連携できるという特徴があります。
医師による遠隔診断サービスも併用可能で、AIエンジンの解析結果をもとに診断が行われます。利用料金は月額の基本料金に加えて症例ごとの解析料金が必要です。
今後の展望
株式会社ドクターネットは医用画像AIエンジンの開発をさらに進め、様々な疾患や病変に対応した技術を提供していく予定です。現在、国際的なAIエンジン開発企業との協力関係も構築しており、新しい技術の導入により日本の医療市場における存在感を高める狙いがあります。
結論
このように、胸部CT画像解析AIエンジンDoctorNET MONCAD CTLNは、読影支援技術の中核を担う存在として、医療現場における革命的な変化をもたらすことが期待されます。特に肺がんの早期発見につながる可能性が高く、今後の展開に大きな期待が寄せられています。