超伝導電子加速器RiSA-01の概要
2024年12月12日、東京科学大学にて開催された「第二回加速器シンポジウム」で、株式会社NovAccelの取締役である早野氏が「超伝導電子加速器によるRI製造への取り組み」と題して講演を行いました。このシンポジウムは、「技術が支えるQOL:核医学による最先端医療」というテーマのもと、日本加速器学会や東京科学大学、日本核医学会などの共催で実施されました。
RiSAについて
講演では、RI(放射性同位元素)製造専用に設計された小型超伝導電子加速器「RiSA」の技術的背景や特徴、設計状況、今後の計画について詳しく述べられました。RiSAは、特に放射性治療において重要な役割を果たすと期待されるAc-225の製造を目指しています。Ac-225は、近年がん治療における関心が高まっている同位元素です。
RI製造専用設計の特徴
RiSAは、汎用加速器の性能を追求するのではなく、RI製造に特化した小型化と安定運転に重きを置いた設計がなされており、これにより安価かつ省電力での運用が可能になる見通しです。この特性は、今後の医療分野での利用に大きな影響を与えるでしょう。
小型化の革新
一般に超伝導加速器は大型化しがちですが、RiSAはその小型化を目指しています。この小型化を実現するために、4K冷却技術および2.6GHz空洞技術が採用されています。
- - 4K冷却技術: 小型冷凍機を利用し、高圧ガス規制が必要ない冷却システムが設計されています。
- - 2.6GHz空洞技術: 世界中で実績のある1.3GHz及び3.9GHzの技術を基にしており、効率とコストの両立を図っています。
製造準備と今後の展望
RiSAの設計とシミュレーションはすでに完了しており、現在は製造段階に移行しています。初期目標として、1台のRiSAで年間150GBqのAc-225を2027年までに製造する計画が立てられています。
さらに株式会社NovAccelは、プロジェクトを推進するために資金調達を積極的に行っており、この取り組みによって医療用RIの安定供給を実現しようとしています。将来的には、加速器技術を活用した革新ソリューションを提供することで、医療や産業の発展に寄与したいと考えています。
最後に
RiSAプロジェクトは、放射性同位元素の製造という新たな課題に挑むものであり、その実現が期待されます。医療分野におけるヒット商品となる可能性を秘めたこの技術が世に出る日が待たれます。