新しい地域金融プラットフォームの展開へ
三菱UFJ銀行と株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が協業し、地域金融機関向けの新たな「金融ハイブリッドクラウド・プラットフォーム」を提供することが発表されました。この取り組みは、2024年10月1日からスタートし、地域金融機関が経営戦略に応じた適切な選択肢を持ちながら、最新のITプラットフォームを利用できるようにすることを目的としています。
新会社の設立と共同利用の実現
この新プラットフォームの開発には、三菱UFJ銀行が新設した合同会社「礎(いしずえ)」が大きく関与しています。この新会社は、地域金融機関に特化したメインフレーム基盤を提供し、従来の共同化の枠組みを超えた新しい協力関係を築いています。地域金融機関が共通の基盤を共有することで、リソースの有効活用を図るとともに、システムの信頼性と効率性の向上を目指しています。
実際、すでにいくつかの地方銀行のグループがこの新プラットフォームの導入を決定しており、「じゅうだん会」や「Flight21」がその代表例です。さらに、他の地銀システム共同化グループの「Chance」も導入を検討しているとのことです。
デジタル変革の加速
三菱UFJ銀行が提供する本プラットフォームは、メインフレームのみならず分散系を含む広範なITインフラをカバーしています。特に重要なのは、日本IBMのデジタルサービス・プラットフォーム(DSP)がこの新しい協力に組み込まれており、金融機関のデジタル変革を促進する要素が加わっている点です。これにより、地域金融機関は市場のニーズに柔軟に対応し、競争力を維持することが可能になります。
さらに、最近の地域金融機関は「攻め」の経営戦略を強化しており、デジタル技術を駆使した革新が不可欠となっています。これに応じて三菱UFJ銀行やIIJは、投資効率を高めつつ、経営の効率化を図る新たな基盤を模索しています。
メインフレーム共同プラットフォームの強み
新プラットフォームの核となるのが「メインフレーム共同プラットフォーム」です。三菱UFJ銀行はこのプラットフォームを利用して、地域金融機関向けの堅実で高可用性を求められる勘定系システムを提供します。また、IIJとの協業により、分散基盤共同プラットフォームを通じた柔軟性のある運用が可能になることも大きなポイントです。
結論
三菱UFJ銀行とIIJの新たな試みは、地域金融機関にとって大きな変革をもたらすものと言えます。この新しい「金融ハイブリッドクラウド・プラットフォーム」により、金融機関は共通のシステムを持ちながら、自らの経営戦略に応じた機能やサービスを柔軟に選択できる環境が整います。地域金融機関の経営改革やデジタル変革が加速する中、この革新的なプラットフォームはその重要な一歩となるでしょう。