幻の能《鼓の瀧》
2022-07-20 10:00:22
能楽の宝、世阿弥の《鼓の瀧》が300年ぶりに復活上演へ!
300年の時を経て復活する能《鼓の瀧》
市民団体「能楽と郷土を知る会」が、神戸三田地域を舞台とした幻の能《鼓の瀧》の復活上演を目指してクラウドファンディングを実施しています。この演目は、能楽の大成者である世阿弥の作品とされており、彼の芸談『申楽談儀』にもその存在が記されています。現在、能楽界では《鼓の瀧》の復活が期待されており、その実現に向け多くの人々が支援を募っています。
プロジェクト立ち上げの背景
日本の伝統芸能である能楽は中世・室町時代に発展し、以降の文化や芸能に大きな影響を与えてきました。特に江戸時代には、武士の儀式でも重宝され、多くの大名に愛されて演じられました。しかし、この伝統芸能は全国共通のものではなく、地域ごとに独自の発展を遂げてきました。
神戸三田地域でも、室町時代からの能楽の記録が残っており、江戸時代には三田藩主のお抱えの能楽師により能が演じられていました。この地域の歴史と文化を再認識することを目的として、能楽と郷土を知る会は、神戸三田ゆかりの演目である《鼓の瀧》の復活に挑むことに決めました。
《鼓の瀧》の復元に向けた取り組み
能楽と郷土を知る会では、古くから埋もれてきた演目の中から《鼓の瀧》を選び、研究を進めています。能として今なお演じられている演目はおよそ200曲ですが、室町時代から現代までの曲は3,000曲以上とも言われており、2800曲以上が「廃曲」となっているのです。これらの演目を再発見し、復元することは、地域の伝統文化を見直す機会でもあります。
《鼓の瀧》は、神戸三田地域にある鼓ヶ瀧を舞台にした古謡で、世阿弥が作ったとされる重要な作品です。プロジェクトでは、図書館や研究機関に所蔵されている古謡本や演出資料を調査し、それに基づいて現代の観客にも魅力的な形で復元する作業が進められています。
現代の舞台に生きる《鼓の瀧》の物語
この能には、春の三月、摂津国有馬郡を舞台にした色とりどりのキャラクターが登場します。臣下が桜に誘われ、古びた樵と出会う物語が展開されます。樵は、音に聞く鼓の瀧の美しさや和歌を通じて、観客にその魅力を伝えます。最終的に瀧祭の神が現れて、舞楽を奏でるという幻想的なフィナーレを迎えるのです。
上演までの過程では、謡本(台本)の制作や演出の検討など、多くの専門家が参加し、高度な演技と古典の魅力を現代に伝えるための工夫が行われます。
クラウドファンディングの意義と取り組み
この復活プロジェクトは、クラウドファンディングを通じて支援を募っています。集まった資金は謡本の研究、上演台本の制作、演出、稽古料、能楽師の出演料、装束の使用料など、様々な用途に使用されます。
* クラウドファンディングの概要
- 期間: 2022年7月11日~9月8日
- 目標金額: 150万円
特に注目すべきリターンには、《鼓の瀧》の復活初演への招待や、特製のお菓子「松風」のセットなどがあります。
未来へつなぐ文化の継承
このプロジェクトを通じて、地域の子供たちに能楽を体験させる取り組みも行われます。将来的には地域における能楽の普及にも寄与することが期待されています。これにより、他地域からの人々にも神戸三田地域の魅力や歴史を伝え、地域への愛着を醸成することが目的です。
能楽と郷土を知る会が手掛ける《鼓の瀧》復活プロジェクトは、地域の伝統を再評価し、未来に向けて文化を育む重要な一歩となることでしょう。
会社情報
- 会社名
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能楽と郷土を知る会
- 住所
- 電話番号
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090-3969-1608