人材不足解消へ!宮城県インドネシア協会が設立、多様な文化交流で共生社会の実現目指す
深刻な人手不足に悩む宮城県において、インドネシア人材の活躍を促進し、共生社会の実現を目指す「一般社団法人宮城県インドネシア協会」が7月4日に設立された。設立記念総会には、伊藤信太郎環境大臣やヘリ・アフマディ駐日インドネシア大使などが出席し、協会の活動への期待が寄せられた。
インドネシア人材の増加と今後の展望
宮城県では、製造業や介護分野など、多くの業界で深刻な人手不足が問題となっている。この状況を打開するため、昨年7月には村井嘉浩宮城県知事がインドネシア共和国を訪問し、人材確保に関する覚書を締結した。
現在、宮城県には約16,586人の外国人労働者が活躍しており、そのうち約9%にあたる1,526人がインドネシア人材である。近年、インドネシア人材は増加傾向にあり、2021年時点の658人から2倍以上の伸びを見せている。さらに、東北大学を中心に多くのインドネシア人留学生が学んでおり、来年4月には大崎市に全国で2例目となる公立日本語学校が開校予定など、今後さらなる交流の加速が予想される。
多様な関係者による設立記念総会
仙台サンプラザで開催された設立記念総会には、伊藤信太郎環境大臣をはじめ、宮城県知事(当日は副知事が参列)や仙台市長、気仙沼市長、大崎市長などの県内自治体の首長、協会の顧問に就任した関係者、そして70社あまりの会員企業と関係者など、250名以上が参加した。
協会設立の背景と今後の活動
会長を務める須佐尚康氏は挨拶の中で、深刻化する労働人口不足と外国人材の受け入れの重要性を強調した。特に、政府が目指す経済成長を達成するためには、2040年には688万人の外国人労働者が必要という試算がある一方で、現状では不足が見込まれるという課題を指摘した。
協会は、インドネシア人材が安心して長く活躍できる環境を整備することで、共生社会の実現を目指している。具体的には、9月に実施される「みやぎジョブフェアinインドネシア」への協力や、インドネシアの文化・歴史を学ぶ連続セミナーの実施などを予定している。
関係機関からの期待の声
伊藤信太郎環境大臣は祝辞の中で、日本とインドネシアは環境問題や安全保障において深い繋がりがあることを強調した。また、人口減少が進む日本において、多様な文化を理解し共生社会を築くことの重要性を訴え、宮城県インドネシア協会の設立が両国関係の発展に貢献することを期待した。
ヘリ・アフマディ駐日インドネシア大使は、経済、人材、文化交流においてインドネシアと宮城県の関係が重要であると述べた。特に、インドネシア人材の日本での就労促進に向けて、日本語教育や生活環境整備の重要性を強調した。また、協会の設立は、両国にとって非常に喜ばしいことであり、今後もインドネシア政府としても多方面でサポートしていくことを表明した。
会長挨拶:須佐尚康氏
須佐尚康会長は、宮城県と東北地方が直面する深刻な労働人口不足を解消するためには、外国人材の積極的な登用が不可欠であると訴えた。その一方で、外国人労働者を温かく迎え入れるための基盤、つまり文化や価値観を理解し合うことが重要であると強調し、協会設立の理念を説明した。
今後の展望
宮城県インドネシア協会は、インドネシア人材の活躍を促進し、両国の文化・経済交流を深めることで、共生社会の実現を目指していく。今後も様々な活動を通じて、人材不足の解消と地域社会の発展に貢献していくことが期待される。