2024年版!企業給与制度の実態調査:リクルートが明らかにした人事制度の現状と課題
株式会社リクルートが実施した「企業の給与制度に関する調査2024」の結果が発表されました。本調査は、日本の企業における給与制度の現状と課題を明らかにすることを目的としており、3062社の有効回答から得られた貴重なデータに基づいています。
調査結果から読み解く、日本の給与制度の現状
調査によると、管理職・非管理職ともに「職能給」制度が最も多く導入されており、4割を超える企業が採用しています。しかし、企業の属性、例えば設立年数や株式公開状況によって、導入されている給与制度には違いが見られました。これは、企業規模や業種、経営戦略などによって、最適な給与制度が異なることを示唆しています。
基本給の決定においては、給与制度の種類に関わらず、考慮する項目に大きな違いは見られませんでした。しかし、同じ職能給であっても、期待や実績など、考慮する項目の内容は企業によって異なっている可能性が高いことが示唆されています。注目すべきは、約8割の企業が、前期の実績ではなく、当期の期待や役割を重視している点です。これは、将来の成長への期待を反映した、より将来志向的な給与体系への移行が進んでいることを示唆しています。
給与テーブルを策定している企業は約9割に上り、多くの企業が基本給や昇給額を事前に定めて運用していることが分かりました。その一方で、全ての従業員に給与テーブルを公開している企業は約4割にとどまり、約16%の企業では従業員への公開を行っていません。給与テーブルを策定していない企業と合わせると、4社に1社程度が給与テーブルを従業員に公開していないことになります。給与の透明性という点においては、改善の余地があると言えるでしょう。
給与制度運用の課題:年功序列からの脱却
給与制度運用の課題として、管理職では「年功的な運用から脱却できていない」点が最も多く挙げられました。これは、被評価者の職位や勤続年数によって、制度の見直しに時間がかかっている可能性を示唆しています。柔軟な人事制度への移行が求められる中で、現状の制度がその妨げになっている可能性があると言えるでしょう。
昇給幅:期待と実績のバランス
最高評価査定時の昇給幅は、「2%未満」が5割を超え、「5%以上」は2割を超えています。基本給決定時の考慮項目別に比較すると、前期の実績を考慮する企業の方が昇給幅が大きい傾向が見られました。メリハリのある給与水準を提示するためには、当期の期待だけでなく、前期の実績も考慮した多角的な評価を行うことが重要であると考えられます。
まとめ:変化への対応が重要
リクルートの調査は、日本の企業における給与制度の現状と課題を明確に示しています。職能給の導入が進む一方で、年功序列からの脱却、給与の透明性向上、期待と実績のバランスのとれた評価システムの構築など、多くの課題が浮き彫りになっています。今後、企業は、時代変化に対応した柔軟で公正な給与制度の構築に力を入れる必要があるでしょう。