「Synergy-ED」登場
2021-05-25 13:00:04
リガクと日本電子が新たに開発した電子回折プラットフォーム「Synergy-ED」が登場
リガクと日本電子が誇る新技術「Synergy-ED」
リガクと日本電子が協力して開発した電子回折統合プラットフォーム、その名も「Synergy-ED」がいよいよ販売開始されました。この革新的な技術は、電子線を使用して分子の三次元構造を明らかにし、測定から解析までの流れを一体化することを実現した全く新しいタイプの電子回折計です。
Synergy-EDの革新性
このプラットフォームは、リガクの超高感度高速検出器「HyPix-ED」と、単結晶構造解析用ソフトウェア「CrysAlisPro for ED」、さらに日本電子の透過型電子顕微鏡技術を融合させた結果誕生しました。最大の特徴は、ナノ結晶を対象としたサンプル選別からデータ収集、解析までの全過程をシームレスに行える点です。そのため、従来求められていた電子顕微鏡や結晶学の専門知識がなくても、簡単に電子回折分析を行うことが可能となりました。
この技術は新薬開発や材料開発において重要な役割を果たし、原子レベルでの分子構造の理解に欠かせないものです。単結晶X線構造解析は、あらゆる物質の三次元構造を決定するための有効な手法として広く利用されています。高精度の構造可視化により、新規物質の発見や生物学的活性の理解、他物質との相互作用の予測に貢献しています。
現場のニーズに応える「Synergy-ED」
最近の研究では、数100ナノメートル以下の微小結晶に対する単結晶構造解析の需要が高まっています。従来の技術では、このような分析が難しかったのですが、MicroEDと呼ばれる新たな分析手法の登場により、状況が変わりつつあります。しかし、電子線によるダメージが大きく、従来技術では必要なデータが得られないという課題がありました。
リガクと日本電子は2020年5月に、共同開発契約を締結し、最新技術を駆使した「極微小単結晶構造解析プラットフォーム」の開発を開始しました。その結果、Synergy-EDは数10~数100ナノメートルの極微小結晶を用いた単結晶構造解析を実現しました。このプラットフォームはデータ処理や結晶学に関する専門的な知識を要求せず、非専門家でも簡単に利用できるよう設計されています。
研究開発の加速へ
定性的なデータ収集から解析までを一貫して行えることにより、研究者は迅速に結果を得ることができます。アカデミアだけでなく、新薬開発など産業界での研究開発においてもこの技術は大きな貢献を果たすことでしょう。
リガクの志村晶会長兼社長は、「日本電子様との共同開発契約を経て、Synergy-EDを市場に提供できることを非常に嬉しく思います。リガクは今後も科学技術を通じて人類社会の発展に寄与する所存です」と述べています。他方、日本電子の大井泉社長も「両社の協業から生まれたSynergy-EDを誇らしく思います。未来の科学技術発展に向け、最適なソリューションを提供します」とコメントしました。
この新しいプラットフォームがもたらす革新は、分子構造解析の現場に新たな風を吹き込むことでしょう。今後の展開が非常に楽しみです。
会社情報
- 会社名
-
株式会社リガク
- 住所
- 東京都昭島市松原町3-9-12
- 電話番号
-
042-545-8111