企業におけるメンタルヘルス管理とエンゲージメントの実態
最近の調査によれば、78%の企業が従業員のメンタルヘルス管理を重視していることが判明しました。しかし、同時に約半数の企業がメンタルヘルスに関連した課題を抱えている実情も浮き彫りになっています。この調査は、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供するjinjer株式会社が行ったもので、360名の人事担当者を対象に実施されました。
調査の背景と目的
新型コロナウイルスや働き方の多様化、社会的不確実性の高まりが進む中、従業員のメンタルヘルスへの関心が高まっています。多くの企業が従業員の健康を重要視していますが、それにもかかわらず、休職や離職を引き起こすメンタルヘルスの問題は依然として続いています。また、従業員のエンゲージメントは、パフォーマンスや定着率に大きな影響を与える要因であり、エンゲージメントの向上が多くの企業にとって重要な課題となっています。この調査は、メンタルヘルスとエンゲージメントの実態を調査し、企業の今後の改善道筋を探るために行われました。
調査結果の概要
調査は2025年3月28日から30日までの期間中に実施され、主要な結果は次の通りです。
メンタルヘルス管理の重視度
「従業員のメンタルヘルス管理を重視していますか?」という問いには、77.5%の企業が「非常に重視している」や「ある程度重視している」と回答しました。一方で、21.4%の企業は「あまり重視していない」もしくは「ほとんど重視していない」としており、一部の企業ではメンタルヘルスの管理が十分に行き届いていない現状も見受けられます。
メンタルヘルスの把握方法
従業員のメンタルヘルスを把握する方法としては、「ストレスチェック(法定)」が最も多く、次いで「健康診断の結果分析」(49.7%)や「定期的な1on1面談」(46.7%)が挙げられました。その他の意見としては、「産業カウンセラーによる相談会」が良いとの意見も寄せられました。
課題の顕在化
企業の49.4%が直近1年間でメンタルヘルスに関する問題が顕在化したと回答した一方で、48.3%は問題がなかったとしています。ここには、「上が取り上げてくれず、揉み消される」といった声もあり、企業ごとに異なる課題を抱えていることが明らかになりました。
エンゲージメントの測定方法
エンゲージメントの把握方法としては、「アンケート・サーベイ」が最も多く挙げられており、次いで「面談や目標進捗を通じての把握」が続きました。このことから、多くの企業が従業員の声を考慮し、エンゲージメントを高めるために取り組んでいる様子が伺えます。
未熟な施策や課題
調査結果によると、エンゲージメント向上のために先行して行われている施策としては、メンタルヘルスの支援が最も多いことがわかりました。しかし、データ活用に関しては、企業がどのように分析・活用すべきかについての明確な指針がないという課題も浮き彫りになっています。
今後の展望
メンタルヘルスとエンゲージメントの改善には、具体的な施策や成功事例の共有が期待されています。今後は、単なる制度設計のみならず、組織全体の健康を視覚化し、従業員一人一人に対してのケアを充実させることが求められるでしょう。特に、心理的安全性と業績のバランスをいかに取るかが重要とされており、企業は柔軟に対応していかねばなりません。
jinjer株式会社の桑内社長は「見える化」を重視しつつ、企業の中でメンタルヘルスとエンゲージメントを引き上げるための新しい方向性を示唆しました。これからの企業は、データに基づく管理だけでなく、気づきや変化を促す力も重要視していく必要があると言えます。
【出典】
jinjer株式会社 -
ジンジャーサービス