千葉工業大学が実施した次世代型教育システムの試み
千葉工業大学が新しい学びの形を模索する中、2023年7月10日、「ChibaTech Expo 2025」にて行われた実証実験が注目を集めました。この取り組みは、株式会社DOUとマイナウォレット株式会社と共同で実施され、受講生たちの学びを仮想通貨「cJPY」として可視化しました。クラスを受講する240名の学生と社会人が対象となり、取得した仮想通貨を用いてマイナンバーカードをタッチすることで、実際の商品購入を実現させています。
実証実験の概要
この実証実験では、学食の人気メニューを楽しむディナー会参加チケットや、授業オリジナルグッズ(ポーチ、ステッカー、マグカップなど)の購入が可能でした。学びの積蓄としての仮想通貨を活用することで、学生たちがより積極的に授業に参加するインセンティブを生む新たな仕組みが提供されました。
3つの特徴
1.
学習成果の可視化
この仕組みは、学習成果を従来の成績だけでなく、実際に使用できる形で表現します。学生たちは、課題提出や授業参加を通じて仮想通貨「cJPY」を獲得し、その使用を通じて自らの努力が具体的なリワードに繋がる体験を得られます。
2.
マイナンバーカードを活用した決済システム
特別なツールが不要で、既存のマイナンバーカードを利用して仮想通貨決済を実現。これにより、本人確認の手間も省き、利便性を向上させました。
3.
教育×FinTechの新たな組み合わせ
学習と経済活動を結びつけることで、新たな教育体験が生まれ、学生の学びに対する姿勢が変化します。
「cJPY」とは
「cJPY」は受講生が授業内で獲得できるデジタルトークンで、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Optimism」を用いて発行されています。このトークンは単なる成績やポイントとは異なり、学習活動に対する具体的な報酬として機能します。タスクの遂行や他の受講生へのサポートに対しても報酬が与えられ、学生たちの成長を促す仕組みが整っています。
マイナウォレットの仕組み
マイナウォレットは、マイナンバーカードと仮想通貨ウォレット機能を統合した新しい決済システムです。タッチ一つでブロックチェーン上での決済やデジタル資産の証明が行えるため、従来の煩雑な要素を排除しています。本システムは、高度な暗号化技術を活用しつつ、個人情報の漏洩リスクを回避する設計がされています。無駄な手間なく、さまざまな決済ニーズに応えられるシステムとなっています。
今後の展望
今回の実験を通じて、千葉工業大学は他の授業でもこのシステムを展開する可能性を検討しています。また、地域コミュニティや企業内の貢献評価システムなど、教育の枠を超えたさまざまな応用展開も視野に入れているとのこと。このような取り組みは、次世代キャッシュレス社会の実現に向けた新しいモデルとなるでしょう。
ChibaTech Expo 2025
このイベントでは、学生による多様なプロジェクトも発表され、AIを用いたアプリケーションや教育システムもまた紹介されました。教育のデジタル化が進む中、今後の展望に期待が寄せられます。特に、AI講師システムの効果が実証されるなど、受講生にとっての学習環境が大きく革新されていることが特徴です。
この実証実験と新たな教育システムの可能性が広がる中、今後も千葉工業大学の取り組みに注目が集まります。