東京23区中古マンション再販市場:供給減で価格高騰、出口戦略が課題に
近年、活況を呈していた東京都23区の中古マンション買取再販市場に、変化の兆しが見えています。マンションリサーチ株式会社の調査によると、再販マンションの供給量は2024年第二四半期から減少傾向に転じている一方、中古マンション全体の供給量は増加。この現象は、マンション価格の高騰が原因と考えられます。仕入れ価格の高騰により、再販時の市場価格が相場を上回り、容易に物件を仕入れられなくなっているのです。
供給減少と価格高騰の現状
調査では、東京都の再販マンション新規売出件数の推移が示されています。2020年のコロナ禍以降、増加傾向にあった売出件数は、2024年第二四半期から減少に転じました。一方、平均成約坪単価は2020年第一四半期以降、右肩上がりで推移し、2024年第二四半期には一段と高騰。この価格の高騰が、新規売出件数の減少と密接に関連していると考えられます。再販マンションの販売価格が、市場における購入価格の上限に近づいているため、利益を確保できる物件の仕入れが難しくなっているのです。
中古マンション市場における再販マンションの割合の減少
2024年第三四半期には、東京都の中古マンション全体の新規売出件数は増加したにも関わらず、再販マンションの売出件数は減少しました。この結果、中古マンション市場における再販マンションの割合は大幅に低下。再販マンションの仕入れが困難になっている現状を如実に示しています。
激化する仕入れ競争と出口戦略の重要性
不動産仲介業者など、多くの企業が参入し、競争が激化している買取再販市場ですが、供給量の減少は、ますます熾烈な仕入れ合戦を招くでしょう。消費者側の購入価格にも限界が近づいていると考えられるため、再販業者にとって、緻密な出口戦略がこれまで以上に重要になっています。安易な参入は、大きなリスクを伴うことを認識する必要があります。
今後の見通し
東京23区の中古マンション再販市場は、供給減少と価格高騰という新たな局面を迎えています。市場参加者は、価格の上限、仕入れの困難さ、そして出口戦略の重要性を十分に考慮した上で、事業展開を進めていく必要があります。今後の市場動向を注視し、適切な戦略を立てることが、成功への鍵となるでしょう。
専門家からのコメント
本稿では、マンションリサーチ株式会社のデータに基づき、東京都23区の中古マンション再販市場の現状と課題を分析しました。同社の不動産データ分析責任者である福嶋真司氏によると、現状は「消費者側の購入価格の限界に近づいている」と指摘。今後の市場動向を予測する上で、非常に重要な視点となっています。
マンションリサーチ株式会社について
マンションリサーチ株式会社は、2011年創業の不動産データ分析企業です。日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ、約3億件の不動産売出事例データなどを保有し、不動産売却一括査定サイト『マンションナビ』などを運営しています。
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