東京都立高校での出張授業がもたらすインパクト
東京都の都立高校にて、NPO法人Fineと株式会社ベルタの共同プロジェクトとして、出張授業が実施されています。この授業は「プレコンセプションケア」をテーマにしており、若い世代が自分の身体に向き合い、妊娠や出産についての正しい知識を学ぶことを目的としています。2024年度には、全4校で「生殖や出生の多様性」に関する内容が取り上げられる予定です。
1. 性教育における欠落
妊娠や出産に関する教育は、保健体育の授業であまり触れられないことが多いのが現状です。多様性に対する認識が高まっている中で、性別や人種、体格だけでなく、生殖や出生についてもきちんと学ぶ必要があります。高校生は避妊については教わるものの、それに至るまでの身体の仕組みについての理解は持っていないことが多いのです。
例えば、男性は常に新しい精子を生成しますが、女性は最も多くの卵子を持っているのは胎児の時期で、成長と共にその数は減少していきます。この事実について学ぶ機会はほとんどありません。妊娠や出産のメカニズムは単純に思えるかもしれませんが、その裏には多くのプロセスが存在し、さまざまな問題が生じる可能性があります。
不妊の経験を持つ当事者にとって、命が当たり前ではないことを実感することは非常に重要です。日本の若者の自己肯定感の低下や自死率の増加、いじめの影響により、命の尊さを理解することが求められます。
2. 授業内容の概要
出張授業では、生殖や出生の多様性についての理解を深めるため、クイズやグループワークが行われます。
前半の授業
授業の冒頭では、命の尊さや出産までの体の変化について、興味深いクイズや当事者の写真を通して学びます。より参加者が身近に感じられるよう、実体験を共有し、感情的なつながりを築きます。
後半の授業
少人数のグループに分かれ、妊活や妊娠、出産、子育てに関するテーマを選び、インターネットを活用して調査を行います。調査後、それぞれのグループが発表を行い、全体での知識の共有を図ります。このプロセスを通じて、参加者は自分たちが知らなかったことを発見し、学びを深めていくのです。
これらの授業は、希望する都立高校で2025年の1月まで続けられます。
3. 受講者の感想
授業を受けた学生からは多くの感想が寄せられています。例えば、ある生徒は「命の大切さを知ることができた」と述べ、別の生徒は「保健の授業よりも深く学べた」との声を寄せました。また、出産や育児に必要な経済的な負担を理解できたことが新鮮だったといった意見もあり、普段聞けない話を体験できたことに感謝する声が多く見受けられます。
結論
このように出張授業を通じて、若者たちが自身の身体についての知識を深め、将来の選択に役立つ情報を得る機会が提供されています。プレコンセプションケアの普及を目指す取り組みは、次世代においてますます重要な意義を持つことでしょう。教育を通じて、命の尊さや出産に関する理解を深めることが、未来の社会にとって非常に重要だといえるのではないでしょうか。