近年、老朽化が進む社会インフラに対処するため、点検・維持管理の新しい手法が模索されています。特に、長年にわたり使用されてきた橋梁やトンネルなどの構造物は、機能維持の観点からも早急な点検が求められています。従来の近接目視による点検方法は、時間や労力がかかるだけでなく、安全面でもリスクを伴います。このような課題を打破するために、キヤノンが展開する新サービス「インスペクションEYE for インフラ Cloud Edition」が注目を浴びています。
このサービスは、AI技術を活かしてインフラ点検作業を効率化します。ユーザーは、撮影したインフラ構造物の画像をクラウドにアップロードするだけで、自動的にひび割れやエフロレッセンス、鉄筋露出などの変状を検知し、確認することができます。特に、AIがもたらす自動化により、従来手作業で行わなければならなかった変状の記録が迅速に完了し、短時間で結果を得られるという点が大きなメリットです。
さらに、ユーザーは検知結果を編集し、必要に応じて画像やCADデータとしてダウンロードすることも可能です。これによって、業務効率が飛躍的に向上し、点検作業がよりスムーズに進むことになります。実際、土木業界では慢性的な人手不足が課題ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)により労力を軽減しつつ、必要な作業は確実に行える仕組みが求められています。
2019年に社会インフラ事業に本格参入したキヤノンは、この新サービスによって施工業者のニーズに応え、インフラ点検のスタンダードを変えていくことでしょう。また、定期点検だけでなく、補修設計や日常点検にも対応が可能であり、今後の展開が期待されます。
加えて、キヤノンは2024年12月4日から6日まで東京ビッグサイトで開催される「社会インフラテック2024」に出展し、本サービスを紹介する予定です。これは、地元のインフラ管理者や業者が最新技術に触れる貴重な機会となります。日本全国のインフラがより安全に、効率的に保たれるための取り組みとして、キヤノンの進化を見ることができるでしょう。
このように、AIを駆使したインフラ点検サービスは、現代の社会のニーズに応える形で進化を続けています。日々進化する技術と、その技術を活用したシステムの導入が、私たちの生活をより安全に、快適にしてくれることを期待しています。