アファンの森北エリアが自然共生サイトに認定
長野県信濃町に位置するアファンの森北エリアが、環境省から「自然共生サイト」に認定された。この認定は、民間の取り組みによって生物多様性の保全が進められていることを評価された結果だ。アファンの森は、故C.W.ニコルが1986年に放置されていた里山を買い取り、生物多様性の回復に向けて活動してきた場所である。現在、65種の絶滅危惧種が確認されており、本プロジェクトは38年もの歴史がある。
C.W.ニコル・アファンの森財団は、森づくりの取り組みを進める中で、森の生態系を大切にし、多様性豊かな環境を作り出すことを目指してきた。特に、ここではネイチャーポジティブの概念を実践し、自然環境を生物の種の数が回復していく状態にしていくことを重視している。
森の再生活動の重要性
アファンの森は、かつて荒廃した里山に生命を吹き込む活動を1986年から行っている。日本の森林の約31%を占める里山は、多くが放置され、ツル植物に覆われている。その影響で、光を必要とする動植物が生育できない状況が続いており、多くの種が絶滅の危機に瀕している。
財団は、長野県信濃町の放置された森を少しずつ買い取り、生きものとの対話を重視した森の再生活動を行っている。38年間の手入れを経て、現在のアファンの森北エリアは17.86haに拡大し、確認された動植物の種数は65種に達している。これにより、里山の機能を活かした薪や炭の生産、さらには地域の教育活動も活性化してきた。
次世代に向けた取り組み
アファンの森は、単に環境保全だけでなく、地域の未来に目を向けたプロジェクトも展開している。その一環として、「5センスプロジェクト」を2004年から実施。身体に障害を持つ子どもたちや心に傷を負った子どもたちを森に招き、自然と触れ合う機会を提供している。これまでに1200人以上の子どもたちが訪れ、その中で心の成長を見守ってきた。
また、2016年より始まったホースプロジェクトでは、間伐材を馬で運ぶ『馬搬』を通じて、地域の伝統技術を復活させようとしている。馬を通じて森の癒しを体感できる取り組みは、地域の活性化にも寄与している。
未来に向けたビジョン
アファンの森北エリアの認定は、長い間の努力の成果であり、今後もさらなる自然再生の活動を続けていく。財団は「100年先の未来のために生物多様性豊かな森を広げること」を最優先にしながら、地域の人々と協力し、よりよい自然共生社会の形成を目指す。
生物多様性の保全は、私たちの未来に向けた重要な課題である。アファンの森北エリアの取り組みは、私たちが長期的に自然環境と共に生きていくための道しるべとなるだろう。