筑波大学発ベンチャーAeroFlexが火星探査飛行機の実験機をJAXAに納入

筑波大学発ベンチャーAeroFlexと火星探査飛行機

筑波大学から生まれたベンチャー企業、AeroFlexが、宇宙航空研究開発機構（JAXA）との共同プロジェクトで開発した火星探査飛行機の高高度実験機を2025年10月に納入しました。このプロジェクトは、火星の気候や地表の研究に重要な役割を果たすことが期待されています。

火星探査の重要性

火星探査は、生命の起源や惑星の形成を理解するために重要なテーマとなっています。AeroFlexは、上空からのアプローチで地表を探査することに注力し、火星探査の新たな手法を模索しています。実際の探査では、火星大気圏に突入した後、無動力の飛行機を放出し、こうして得られたデータを使用してさらに深い理解を目指します。

AeroFlexの高高度実験機の特徴

AeroFlexの実験機は、火星の過酷な環境に対応するため、いくつかの先進的な設計が施されています。小型のタンデム翼構造を採用し、低い大気圧でも高い揚力を確保できるよう設計されています。また、機体搭載のバッテリーは、マイナス60度と極寒の条件下でも安定して稼働するよう保温システムが構築されています。

加えて、安全な着陸を実現するためのパラシュートシステムも備えています。これにより、滑空試験後のデータを地上に安全に送信することが可能です。

飛行実験のプロセス

実験機の飛行実験は以下のステップで進められます。現在は、気象条件に適したタイミングを選び、法的な手続きも進めており、実際の実験は2026年以降を予定しています。

1. 気球に機体を吊り下げて放球し、高度30kmに達します。
2. 地上からのコマンドで機体を切り離します。
3. その後、機体は垂直降下からの水平飛行に入ります。
4. 飛行完了後、パラシュートで降下しながら、飛行データを地上へ送信します。

この実験の準備に際して、AeroFlexは廃校となった行方小学校の校舎や体育館を利用し、事前試験を実施し地域資源の再活用にも寄与しています。さらに、合同会社紺屋の協力を得て、運営やデータ取得を行っています。