セレンディクス、プラナム社と提携しオーストラリアでの3Dプリンター住宅事業を推進
2025年に開催される大阪・関西万博のオーストラリアパビリオンで、セレンディクス株式会社とオーストラリアの不動産アドバイザリー企業、プラナムパートナーズ(以下、プラナム社)との間で、3Dプリンター住宅事業に関する覚書(MOU)が締結されました。この提携は、オーストラリアの住宅供給問題に対抗するための重要な一歩です。
オーストラリアの住宅問題
オーストラリアでは、近年住宅価格が高騰し、民間の住宅取得が難しい状況が続いています。調査によると、主要都市の住宅中央値は105万豪ドル(約1億209万円)に達し、2023年度においても8.1%上昇するなど、住宅取得の困難さが増しています。特に、初めて住宅を購入しようとする層にとっては、まさに手の届かない水準です。こうした状況を打破するためには業界全体でのイノベーションが求められています。
プロジェクトの概要
セレンディクスとプラナム社は、クイーンズランド州政府と協力し、3Dプリンター住宅の導入に向けた具体的な第一歩として、フィージビリティスタディ(実現可能性調査)を実施することを計画しています。この調査において、地域の気候や法的要件に応じた設計が求められるほか、サプライチェーンの構築も重要な要素となります。実証棟の建設を通じて、量産の可能性を探ります。
プラナム社の役割
昨年設立されたプラナム社は、不動産、インフラ、エネルギー分野での豊富な実績を誇る企業であり、オーストラリア国内で広範なネットワークを持っています。本プロジェクトにおいては、資金調達や政府との調整、地元建設会社やサプライヤーとの連携強化が求められています。
セレンディクスのビジョン
セレンディクスは、設計データの提供に独自のビジネスモデルを持ち、現地での施工を効率化しています。この手法は、これまで日本、中国、韓国、オランダ、カナダの5カ国で実証済みであり、品質を保ちながらコストを削減すると同時に、各地域の特性に応じた素材調達を実施する計画です。これにより、高品質で手頃な価格の住宅を提供することを目指します。
CEOのコメント
セレンディクスの代表取締役CEOである小間裕康氏は、今回の提携を「大変光栄」とし、オーストラリアの住宅市場の課題に対して同社の技術が果たす役割の重要性を強調しました。ウクライナでの復興プロジェクトや、日本国内における様々な取り組みを経て、セレンディクスはこの新しい市場においても成功を収めることでしょう。
プラナム社会長の言葉
プラナム社のマシュー・マッキャン氏は、オーストラリアが直面する住宅不足の問題について、政府が深い関心を示していることを述べました。彼は、セレンディクスの技術が業界に新たな風を吹き込むことを期待しています。
今後の展開
今後、両社はオーストラリア市場での3Dプリンター住宅事業の展開に向け、準備を着実に進めていく予定です。これによって、住宅問題の解決に向けた新しい風が吹き込まれることが期待されています。セレンディクスの事業はこれまでにないアプローチを提供し、今後の展開に注目が集まります。