ミネラルオイルの重要性
2024-09-17 20:54:57

ミネラルオイルの成分が自己免疫疾患発症に影響を与える新たな発見

概要


近年、自己免疫疾患の原因究明には様々なアプローチが試みられています。最近の研究では、ミネラルオイルに含まれるトリデシルシクロヘキサンが、この疾患の発症に寄与することが明らかになりました。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の飯島則文チームが、北海道医療センターや東京大学医科学研究所と連携し実施したこの研究は、2024年7月に『European Journal of Immunology』に発表されました。

研究の背景


自己免疫疾患とは、免疫細胞が自らの体の細胞を攻撃し、組織の損傷を引き起こす病態を指します。これまでの研究では、性別、遺伝、肥満といった因子が影響を与えることが示されていますが、根本的な発症原因は未解明です。特に、1900年代初頭に開発された完全フロイントアジュバントを用いた実験は、自己免疫疾患の誘導モデルにおいて広く利用されています。このアジュバントは、結核菌の死菌と不完全フロイントアジュバント(IFA)を組み合わせることで効果を発揮します。

研究の内容


本研究では、IFA成分と自己抗原、結核菌死菌を組み合わせてマウスに接種したところ、自己免疫疾患が引き起こされることが確認されました。特に、ミネラルオイルを用いた際の効果が顕著であり、なかでもトリデシルシクロヘキサンが自己免疫性脳脊髄炎やコラーゲン誘導性関節炎を誘発するのに重要であることが示されました。ミネラルオイルの成分として12種類以上の炭化水素が含まれている中、トリデシルシクロヘキサンが最も強力な誘発因子として機能することが分かりました。

実験のプロセス


実験動物にMOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)と結核菌死菌を接種した場合、自己免疫疾患は発症しませんでした。しかし、IFAを含むミネラルオイルを用いることで強力に疾患を誘導できることが確認され、特にトリデシルシクロヘキサンを用いることで、これまでにない高い誘発能力が示されました。

今後の展望


今回の研究成果は、自己免疫疾患に対する新たな治療法の開発につながる可能性があります。トリデシルシクロヘキサンの作用機序を解明することで、医療領域での応用が期待されています。また、病原微生物による感染や炎症によって自己抗原が露出する場合に、ミネラルオイルやその成分が再度注目されるかもしれません。

研究支援と背景


本研究は、複数の助成金や研究機関の支援を受けており、今後もさらなる研究が進められる予定です。某国立機関が掲げる科学技術向上の使命を果たすため、この研究は重要な一歩となるでしょう。

結論


ミネラルオイルに含まれるトリデシルシクロヘキサンは、自己免疫疾患の誘導において重要な役割を果たしています。本研究の結果は、免疫学や病理学における新たな知見を提供し、今後の治療法開発に貢献することが期待されます。


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会社情報

会社名
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所
住所
大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目6番8号大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目6番8号
電話番号
072-641-9832

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