旭化成、生成AIを新たな戦略に
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎)は、材料の新規用途の探索と製造現場での技術伝承において、生成AIの活用をスタートしました。過去の蓄積されたデータやノウハウをフル活用し、競争力を高め、事業上のリスクを低減することを目指しています。
新規用途探索の自動化
新規用途探索は、既存または新たに開発された材料の新しい用途を見つけ出すプロセスです。従来は専門の従業員による調査・分析によって進められていましたが、今回は専門人材と事業部が協力し、AIによる用途の自動抽出システムを開発しました。このシステムにより、6,000以上の用途候補が生成され、時間も従来の約40%に短縮されました。
生成AIの導入により、専門家のアイデアに匹敵する用途候補が瞬時に得られ、より革新的な発想が可能になります。今後は、材料化学や医療分野をはじめとする新規用途探索にもこの技術を広げ、将来的には自社製品の技術分析にも応用していく考えです。
製造現場での技術伝承
製造現場では、事故や災害を未然に防ぐための「危険予知」が重要です。しかし、高齢化や退職により熟練者のノウハウ継承が課題となっています。これまで、個々の経験に頼ってリスクを予知していましたが、生成AIを利用することで、未経験のスタッフでも包括的にリスクと対策を把握できるようになりました。
今後は、危険予知に加えて工場のセンサーからのデータを用いたリアルタイムのリスク検出にも活用していく予定です。
生成AI活用方針
旭化成は2023年5月より、グループ全体での生成AIの活用を積極的に進めることを決定し、業務の効率化を目指しています。今後は生産性の向上に加え、新たな競争力強化とリスク低減を図るために生成AIを活用する方針です。
社内での利用促進施策
個々の業務においては、各従業員が生成AIツールを活用できるスキルを習得することがカギです。また、組織レベルでの利用には、技術的知識も必要です。このため、個人利用と組織利用の両方を支援するプログラムを導入しています。
個人利用
Microsoft 365 Copilotなど既存の生成AIサービスを利用して、従業員の業務を支援しています。特に「旭化成DXオープンバッジ」では生成AIに関する教育が行われ、業務全体での時間短縮が実現されています。
組織利用
2023年12月からは、社内のシステム開発者向けに生成AIモデル利用基盤が公開され、各チームが独自の生成AIを構築できるようになります。技術的に高度なテーマに関しては、専任組織が支援し、必要に応じて開発が行われます。
今後の展望
旭化成は、過去の経験と知見を活かしつつ、より積極的な生成AIの活用を進めて新たな価値創造を目指しています。これにより、グループ全体のデジタルトランスフォーメーションも加速していくことでしょう。これらの施策によって、より安全で効率的な製造現場につながることが期待されます。
詳細については、
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