急性肝性ポルフィリン症に関する中間報告と今後の展望について
急性肝性ポルフィリン症の中間報告
最近、腹痛に対する診断技術が向上したものの、原因不明の腹痛が依然として課題とされています。特に、急性肝性ポルフィリン症(AHP)という希少疾患が見過ごされることが多く、今回の研究ではこの現状を改善する手助けを目的とした調査が行われています。
研究の背景
腹痛を訴える患者は多岐にわたる疾患に苦しんでおり、その中にはAHPのような稀有な疾患も含まれています。AHPは急性の腹痛を主な症状とする遺伝性の疾患であり、特定の症状を伴いながら、他の一般的な疾患と見分けがつかないことが問題となっています。診断が確定するまで平均して15年かかることもあり、この遅延は患者の生活品質に深刻な影響を及ぼします。
研究の方法論
日本病院総合診療医学会との共同研究として、2019年から2022年にかけて6つの医療機関でデータを収集しました。944名の患者さんを対象として、腹部CTや内視鏡検査などを行った結果、724名(76.7%)の患者に病因が特定され、220名(23.3%)は原因不明のままでした。特に、診断不明の腹痛患者にはAHPに関連する臨床所見が多数見られたことが明らかになりましたが、AHPを確定するための尿検査は十分に行われていなかったのです。
課題と今後の展望
この研究の発表を行った佐賀大学の多胡雅毅准教授は、「腹痛は誰もが経験する一般的な医療の課題であり、その背景にAHPのような希少疾患が潜んでいる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。今後は、野生的な症例の分析を通じてAHPの診断基準を確立し、診断不明の患者を減らすための対策を講じる必要があります。
AHPの詳細
AHPは主として思春期から閉経前の女性に多く見られる疾患で、主な症状として激しい原因不明の腹痛が挙げられます。そのほかにも四肢痛や悪心、嘔吐、錯乱などさまざまな症状が現れます。非特異的な症状のため、他の多くの疾患と誤診されることが多く、そのために診断が遅れがちです。
企業の役割
Alnylam Japan株式会社の奥真也医師は、AHPの診断が進むことの重要性を強調しました。AHPの診断向上に向けて、様々なパートナーと連携し、疾患の認知を広める努力をすることが必要だと考えています。新たな尿中のバイオマーカーについても、未来に向けた調査が求められています。
まとめ
急性肝性ポルフィリン症に関するこの研究は、腹痛を訴える患者に新たな視点を提供するものです。医学界におけるAHPの理解が深まれば、診断改善に繋がり、患者の未来に明るい光をもたらすことが期待されます。
会社情報
- 会社名
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Alnylam Japan株式会社
- 住所
- 東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内11階
- 電話番号
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03-6629-6200