ルクサナバイオテクと愛知医科大学、脊髄損傷治療薬の実用化を見据えた共同研究を開始

脊髄損傷治療薬の開発に向けた新共同研究契約の締結



ルクサナバイオテク株式会社と学校法人愛知医科大学は、共同研究契約を締結し、脊髄損傷治療薬の創成を目指します。この研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて進められ、愛知医科大医学部の武内恒成教授が担当します。彼の研究テーマは「脊髄損傷治療アンチセンス医薬の開発」で、これにより脊髄損傷の患者に希望をもたらすことを目的としています。

脊髄損傷は、交通事故やスポーツ事故などが主な原因ですが、最近では高齢化に伴い、高齢者の転倒や高所転落によるケースが増加しています。全世界では毎年13万から25万人が新たに脊髄損傷の症状を発症しており、従来の治療法では麻痺の改善は難しい状況です。脊髄損傷を受けた患者は、完全または部分的な麻痺が残ってしまい、生活の質(QOL)が著しく低下することが多く、家族にも精神的、社会的、経済的な負担を強いる結果となっています。

脊髄損傷後、中枢神経系を保護するために、過剰なグリア性瘢痕が形成され、これが神経軸索の再生を妨げます。瘢痕は主にコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CS)から成っており、CSの生合成を阻害することで神経軸索の伸長が促進されると考えられています。しかし、従来の創薬アプローチでは、このCSの合成を阻害するのが難しかったため、武内教授と医薬基盤・健康・栄養研究所の研究者たちが新たにアンチセンス核酸(ASO)を利用したアプローチを提案しました。

この共同研究により、武内教授の研究成果をもとに、ルクサナバイオテクのASO創薬技術と組み合わせ、瘢痕形成の阻害と神経再生の促進を実現する新しい脊髄損傷治療薬を創成します。この新しい治療薬は、脊髄損傷によって生じる麻痺を軽減し、運動機能の回復を図ることが期待されています。これにより、患者のQOLの向上や介護の負担軽減、自立生活の実現が見込まれます。

また、この研究の成果は、日本発の修飾核酸技術を基にした核酸医薬品の産業基盤の構築や、国際的な展開に貢献することも期待されます。従来の薬剤では治療が難しい脊髄損傷に対して、新たな提案が行われることで、多くの患者が救われる可能性があります。

アンチセンス核酸(ASO)について


アンチセンス核酸(ASO)は、メッセンジャーRNA(mRNA)に結合し、タンパク質合成を調整する核酸誘導体です。この特性を活かすことで、従来の創薬アプローチでは対象とできなかった疾患に対しても新たな治療薬の開発が可能になります。

ルクサナバイオテクについて


ルクサナバイオテク株式会社は、大阪大学での核酸化学の研究成果をもとに、安全で効果的な核酸医薬品の実用化を進めています。これは、有効な治療法がない病気に苦しむ患者とその支援者に新しい希望を提供することを目的としたバイオテクノロジー企業です。

会社情報

会社名
ルクサナバイオテク株式会社
住所
大阪府吹田市山田丘2番8号テクノアライアンスC棟C907
電話番号
06-6170-1228

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