金融所得と社会保険料の公平性: 確定申告の有無による不公平解消に向けた議論
金融所得と社会保険料の公平性: 確定申告の有無による不公平解消に向けた議論
近年、株式投資などを通じて得られる金融所得が増加する一方で、社会保険料の算定において不公平が生じているとの指摘がされています。具体的には、上場株式の配当や譲渡所得など、源泉徴収された金融所得について、確定申告を行うかどうかを納税者が選択できる点が問題視されています。確定申告を行う場合は、保険料の算定に金融所得が反映されますが、確定申告を行わない場合は反映されず、結果として保険料に差が生じてしまうのです。
この問題に対処するため、自由民主党は「医療・介護保険における金融所得の勘案に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、議論を進めています。チームは、確定申告の有無による保険料の不公平を解消するため、さまざまな対策を検討しています。
NISAは議論対象外
議論の対象となっているのは、確定申告の有無によって保険料が変わる金融所得であり、少額投資非課税制度(NISA)は議論対象外です。NISAは、非課税口座で購入した金融商品から得られる利益が非課税となる制度であり、そもそも保険料の賦課対象外となっています。
具体的な不公平の例
例えば、70歳の単身世帯で年金収入が320万円の場合と、年金収入が270万円で上場株式の配当所得が50万円の場合を比較してみましょう。後者の場合、確定申告を行うと、保険料は年金収入のみの場合と同じになります。しかし、確定申告を行わない場合は、保険料の算定対象となる収入が270万円となり、保険料が低くなるのです。
議論の焦点
プロジェクトチームでは、確定申告の有無によって保険料に差が生じる不公平をどのように解消していくか、具体的な方策を検討しています。議論の焦点は、金融所得の保険料算定への反映方法、確定申告の簡素化、情報提供の充実など多岐にわたります。
今後の展望
自由民主党は、国民の負担感を軽減し、社会保険制度の公平性を確保するため、金融所得と社会保険料のあり方について引き続き議論を進めていく予定です。国民の意見を反映させながら、より良い社会保障制度の実現を目指します。