ベトナムにおける特定技能外国人ドライバー育成事業の進展
近年、日本の物流業界は「2024年問題」と呼ばれる深刻な人手不足に直面しており、その解決策として外国人ドライバーの採用が急務となっています。その中で、株式会社キャムグローバルはベトナムで特定技能外国人のドライバー育成事業を開始しました。2024年の10月17日に東京都新宿区のキャムグローバルが、ベトナム南部の人材輩出校や教育機関と協力し、ドライバー育成に関する日越企業間協定を締結したばかりです。
協定の目的と背景
協定の締結は、特定技能制度の対象が「自動車運送業分野」に追加されたことを受けたものです。この制度により、トラックやバス、タクシーの運転手として外国人を雇用できるようになり、自国の労働力不足を補うチャンスが広がりました。また、特定技能1号評価試験が2024年3月から開始され、多くの外国人材がこの試験を受けることが期待されています。しかし、実際に採用を実現するためには、合格を目指す外国人材の育成と日本企業側の受け入れ体制構築が不可欠です。
キャムグローバルは、この問題を解決すべく、ベトナムのニャーベ職業・継続教育センターやホアン・ハー人材開発株式会社、そしてベトナムキャムコム有限会社との提携を結び、特定技能外国人ドライバー採用に必要な包括的なサービスを実現しています。
日本式の教育プログラム
協定による教育プログラムは、日本の交通法規に基づいた独自のカリキュラムが組まれています。受講生は、日本の運転免許への切り替えや、日本語能力をN3またはN4レベルまで引き上げるトレーニングを受けることができます。また、座学だけでなく実践的な運転技術の習得も重視されています。特に、心理的なトレーニングとして「運転者倫理」や「交通文化」などを通じて、社会に貢献するドライバーの育成に努めています。
この体制により、キャムグローバルは年間200名のドライバーを日本に送り出すことを目標としています。これは、倉庫間の配送を担うドライバーを中心にした数です。
各社の役割と展望
ニャーベ職業・継続教育センターは、国営の職業訓練校として、ベトナム国内で年間2,000名の職業ドライバーを輩出しています。同センターの社長であるレー・ヒュー・タン氏は、自動車運転訓練の質にこだわり、社会で信頼されるドライバーを育てる責任を担っています。
一方、ホアン・ハー人材開発株式会社は、年間1,000名のベトナム人を海外に派遣しており、労働市場のニーズに応じた人材育成に注力しています。ファム・ティ・トゥイ副社長は、当社の実績を基に、未来に向けた人材供給のモデルを追い求めています。
キャムグローバルの三石晃史代表取締役は、ベトナムの協力企業からの支援を受け、ドライバーの育成と採用を通じたビジネスモデルの確立に尽力しています。このプログラムにより、日本で働きたい外国人ドライバーが安心して活躍できる環境を整備するだけでなく、企業との信頼関係を築く重要な役割も担っています。
まとめ
今回の協定は、日本におけるドライバー不足問題への対策として非常に重要なステップです。日本とベトナム両国の労働市場が相互に発展し、信頼を深められる事業が進行していることが確認されました。この取り組みが成功裏に進むことで、ドライバー業界の未来が明るくなることが期待されています。