信頼性向上も見逃せない、2025年米国EV充電調査
2025年8月13日、J.D. パワーが発表した「2025年米国EVエクスペリエンス(EVX)- 公共充電調査」の結果は、米国の電気自動車(EV)所有者の公共充電サービスに対する満足度に関する重要なデータを提供しています。この調査は、AC普通充電とDC急速充電という二つのタイプの充電サービスについて、6310人のEV所有者から情報を得ています。
今回の調査では、EV充電業界がNEVIによる資金提供の不確実性や政治的変化の中でも、信頼性と顧客体験の向上を示していることが強調されています。特に、車両の充電を試みたが充電を断念した割合は過去4年間で最低を記録し、その裏には公共充電ステーションのインフラ整備に対する業界のコミットメントの進展が窺えます。
主要な調査結果
本年の調査によると、DC急速充電の顧客満足度は654ポイントと前年から10ポイント減少し、特にコスト関連の項目で顕著な低下が見られました。一方のAC普通充電は607ポイントで、同様に前年比で7ポイント減っています。ただし、全体的な信頼性は改善されており、充電を断念した訪問者は14%に留まるなど、実質的な進展を見せています。
調査の振り返りとして、次のポイントが浮かび上がりました:
- - EV所有者の多くは充電費用に対して不満を感じている
- - テスラ以外のユーザーは特に充電コストに難色を示している
- - テスラのSuperchargerの満足度は709ポイントで業界トップ
調査結果は、ディーラーとは異なる自動車メーカーが運営するDC急速充電のネットワークも好調であり、メルセデスやフォードなどがテスラと同等の顧客満足度を得ていることを示しています。このような競争環境の中で、各メーカーが学びを活かし、新たな課題にも立ち向かっている様子が伺えます。
エリアによる満足度の違い
地域によってもEV充電体験は異なり、太平洋地域では非充電訪問が最も多く、シアトルやロサンゼルスでの充電器故障が顕著です。一方、東南中部地域は、この課題に対する発生率が低く、安心して充電できる環境が魅力的に映ります。これらのデータをもとに、より良い充電環境を求める声が高まることでしょう。
初心者とベテランの異なる満足度
興味深い点として、初めてEVを購入したオーナーの方が経験豊富なオーナーよりも満足度が高いことが挙げられます。この傾向は、初心者が新しい体験に対して期待し、それが充実したものであるためと考えられています。そのため、今後も業界は技術の向上と充実した顧客体験の提供に重点を置く必要があるでしょう。
今後の展望
J.D. パワーのエグゼクティブディレクターであるブレント・グルーバー氏も、「公共充電の改善のためには、速度だけでなく信頼性や利便性、コストへの配慮も重要」とのコメントを寄せています。業界全体が一丸となって取り組む必要性が高まる中で、これまでの課題を解決し、さらなる発展を遂げるための努力が期待されます。
総じて、2025年の米国EV公共充電業界は、依然として多くの課題と向き合っている一方で、改善と成長の兆しも見え始めています。今後もJ.D. パワーの調査結果には注目していきたいところです。