防災に対する意識の変化と備蓄の実態2024年版
近年、様々な自然災害が頻発する中、防災についての意識はますます重要になっています。2024年7月に行われた「防災に関する意識・実態調査」で、特に60代以上の女性を中心にその傾向が明らかにされました。この調査は、女性誌「ハルメク」を発行する「ハルメク 生きかた上手研究所」により実施され、900名の回答を基にしています。
調査背景と目的
この調査の背景には、9月1日の「防災の日」があります。この日は、国民が災害に対する認識を深め、心構えを準備するための日として定められました。シニア層、特に女性の防災意識や備えについて理解を深めることを目的に、2021年の調査結果と比較しながら実施されました。
調査結果の主なポイント
調査結果は、いくつかの興味深い傾向を示しています。特に印象的なのは、60代以上の女性における「防災意識が高い」との自己評価の割合が減少したことです。2021年には「高い方」と評価されていた方が17.1%だったのに対し、今回は約3ポイント減少。逆に「どちらとも言えない」の回答が47.2%と大きく増加しました。
備蓄品の見直し状況
また、全体的には防災の備えが低下傾向にある一方で、水や食料の備蓄は増加しています。特に備蓄品を「年に1回以上見直している」と答えた50代以上の割合は85%を超え、「備蓄の工夫」も見受けられました。具体例としては、賞味期限の早いものを消費するなど、日常生活に防災を取り入れている人々の声が紹介されています。
AEDに関する認知度
AED(自動体外式除細動器)についても調査が行われました。50代以上の認知は高いものの、実際の使用方法を知らない割合は30代以下の層と比べて低くなっていることもわかりました。
専門家による考察
ハルメク 生きかた上手研究所所長の梅津順江氏は、「防災意識は高まっていると見られていたが、実際には逆の傾向も見えた」と指摘しています。特に60代の「どちらとも言えない」の増加は、十分な備えをしているという自信を持たない声として捉えられ、準備の基準が明確でないことからくる不安が浮かび上がっています。
まとめ
この調査は、シニア女性の防災に対する意識を知るうえで非常に重要なデータを提供しています。備蓄品の見直しは進んでいるものの、基準や準備に対する不安も多いようです。今後もこのような調査を通じて、具体的な防災対策や支援が必要なことが明らかになれば、多くの女性がより安心して暮らせる未来に繋がることでしょう。