身近な不思議を物理で解き明かす
東京大学の理学博士、小澤直也氏の新著『美しい物理の小宇宙』が2024年11月26日に刊行されることが発表され、注目を集めています。この本は、日常生活の中に潜む様々な物理的疑問を、29の短編ストーリーとして届けるエッセイ集です。
書籍の概要
本書は、224ページからなる四六判の並製本で、定価は1,870円。ISBN番号は9784576241111です。著者の小澤氏は、東京大学の博士課程を修了後、原子核科学研究センターで対称性の破れを研究しています。また、彼はピアノを趣味に持っており、音楽についても独自の視点で語っています。
物理を身近に感じる29の物語
本書の特徴は、難解な物理の概念をわかりやすく、また理知的に説明している点にあります。「世の中にある本をすべて読もうとすると、何年かかる?」という問いを始め、物理が語る日常の不思議について、著者のユーモアあふれる筆致で描かれています。特に、加速器を用いた原子核物理の研究は、ただの理論に留まらず、「宇宙の起源」や「我々の存在」を探求する哲学的な要素も含まれています。これにより、科学と哲学の境界を行き来しながら、さらなる思索を促します。
知識の結晶としての物理
著者は、昭和の時代に書かれた物理的な考察と、現代の物理学の交差点に立ちながら、物理の言葉で日常の疑問に答えています。読者は「音楽はなぜ心地よいのか?」や「引き寄せの法則を数式であらわすと?」といった素朴な疑問に対する独自の解答を知ることができます。これらの問いは一見単純に思えるですが、実際には多くの人が考えたことがあるもの。著者は巧妙にその答えを探求し、理論と実験を交えた分かりやすい言葉で表現します。
同時代の知識人からの推薦
この書は、第69回小学館漫画賞を受賞した『数字であそぼ。』の著者である絹田村子氏からも推薦を受けており、「私たちはこの本で……誰かの知の結晶が息づいていることを知ることができる」とのコメントが寄せられています。著者の小澤氏が描く物理は、単なる学問の枠を越え、私たちの日常に深く根ざしていることを伝えています。
まとめ
『美しい物理の小宇宙』は、物理に興味がある人はもちろん、身近な疑問を物理的な観点から解き明かしてみたい人にとっても一読の価値があります。科学的な探求心を養いつつ、日常の不思議な現象に気づかせてくれる一冊です。この機会に、ぜひ手に取ってみてください。