認知症治療に新たな希望を築く山岸医師の講演
2024年12月5日、公益財団法人がん集学的治療研究財団の理事長であり、京都府立医科大学名誉教授の山岸久一先生が経済同友会主催の「健康ライフを考える会」にて、「認知症と再生医療」をテーマに講演を行いました。この講演では、山岸医師が長年にわたって研究を進めてきた幹細胞治療の重要性とその実績が紹介されました。
講演内容:幹細胞治療の可能性
山岸医師は特に脂肪組織由来幹細胞治療(ADSC治療)の具体的な実績や最新の研究成果を交えながら、つまり、認知症やALSなど難治性疾患に対する新たな治療手段としての可能性を強調しました。ADSC治療は、拒絶反応のリスクが低く、幹細胞の採取が容易であるため、iPS細胞と比較して有利な選択肢として注目されています。
驚異的な治療成績
山岸医師の研究チームによると、ADSC治療を受けた認知症患者のうち、14例全てで認知症の重症度を示すMoCAJスコアが改善した結果が報告されています。また、ALS患者の13例中7例でも症状の回復が確認されており、パーキンソン病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する優れた成果も挙げられました。このように、既存の治療法が効果を示さない疾患に対しても、ADSC治療が有望な進展をもたらす可能性があります。
治療効果のメカニズム
治療におけるメカニズムについても、最新の知見が発表されました。ADSCは異常部位に遊走し、有害物質を分解する酵素を分泌する事が確認されています。認知症において問題となるアミロイドβやタウ蛋白が、ADSC治療後にPET画像で減少していることが示されています。これは、ADSC治療が根本的な改善を促す可能性を秘めていることを示唆しています。
直面する課題と今後の展望
ADSC治療には、高額な治療費や症例数の不足、そして医療界における認知度の低さといった課題もあります。これらの問題を解決するために、山岸医師はさらなる周知活動と研究を続け、「がん集学財団」がこの新たな治療の普及を目指すと述べています。
セミナーのアーカイブ動画
本講演の模様は、がん集学財団の公式YouTubeチャンネルでアーカイブ動画として視聴可能です。興味がある方はぜひチェックしてみてください。
がん集学財団公式YouTube
山岸医師のプロフィール
山岸久一医師は1969年に京都府立医科大学を卒業後、外科医としてのキャリアをスタート。アメリカでの研究活動を経て、邦内においても数々の医療機関での要職を歴任し、2012年以降は地域医療の向上にも貢献してきました。2021年にはがん集学的治療研究財団の理事長に就任し、再生医療の研究を進めています。今後も多くの患者に希望を与える活動を続けていくことでしょう。
詳細情報や講演依頼については、がん集学財団の公式HPをご覧ください。彼の著書『諦めない』も読まれているので、ぜひ手に取ってその活動について理解を深めてください。