能登地域の農業復興に向けた取り組み
令和6年、能登半島は地震と豪雨による二重の災厄に直面しました。この自然災害は広範囲にわたって農地や農業用施設に甚大な被害をもたらしました。実際、地震による農地の亀裂や沈下は3,621件、農業用施設への被害は6,901件に達し、合わせて10,522件もの被害が報告されています。豪雨の影響も深刻で、農地への土砂や流木の堆積などにより3,261件の被害が発生しました。
農業用ため池の復旧状況
農業用ため池に関しては、422箇所の被害が確認されています。災害による被害を拡大させないために、早急に亀裂保護や低水管理が行われました。廃止を求められているため池が39箇所存在する一方、383箇所については復旧作業が進められています。特に、被害が小さかった96箇所のため池については既に復旧工事が完了しており、残りの287箇所も営農利用の優先度を加味しながら、令和10年度までの復旧完了を目指しています。
基幹的な農道の復旧状況
能登地域の基幹的な農道は、16路線のうち9路線で大規模な被害が発生しました。現在、通行止めの解除が少しずつ進んでおり、特に「ツインブリッジのと」は今年6月に片側交互通行での供用が開始されました。ただ、さらなる復旧には時間を要する4路線が通行止めの状態で、令和10年度末にはほぼ全ての通行止めが解除される見込みです。
奥能登営農復旧・復興センターの活動
農業者に対するワンストップ支援のため、昨年11月に「奥能登営農復旧・復興センター」が設置されました。このセンターでは、県や国、JAが連携し、各種支援制度の申請や農地復旧の見通しなどの支援を行っています。農業者が安心して営農を再開できるよう、専門的なサポートを提供しています。
営農再開の状況
被害前の令和5年には能登地域の水稲作付面積は2,800haでしたが、令和6年には地震の影響にもかかわらず、県の支援により約1,800haの作付けが行われました。豪雨の再被害がありながらも、令和7年の水稲作付面積は約1,900haに増加し、営農再開面積も2,000haに達しています。この数字は発災前の水準の約7割に相当します。
不作付け地の対応
令和7年度には800haの不作付け地があり、そのうち約500haは生産基盤の破損が原因とされています。市町と連携し、段階的な復旧計画が立てられることになっています。また、300haは農業者の不在や意欲の減退が原因ですが、センターは約800人の農業者に対してアンケートを実施し、今後の作付け意向を探ります。この結果に基づいて、農地利用に向けた支援を強化します。
石川県では、引き続き国や県内の市町と連携を深め、能登地域の復旧と復興に全力で取り組んでいく姿勢を示しています。